経営・戦略

2024.09.02 09:45

予測不能なVUCA時代を乗り切るためにすべきコト

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VUCA(ブーカ)という言葉をご存知だろうか。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性のそれぞれの英語の頭文字をつなげた頭字語だ。さまざまな要因から予測不能となった今の世の中を表している。企業はこのVUCA時代に適切に対応する必要があるが、まだ認知度は低い。今できることはなんだろう。

キャリア情報サイト「すべらないキャリア」などを運営するアクシスは、日本国内で就業経験のある10代から60代の男女300人を対象に「VUCA時代」に関するアンケート調査を実施した。それによると、VUCA時代という言葉を知っている人は28パーセントに過ぎず、7割以上の人が、知らない、または聞いたことはあるが意味を知らないと答えた。

VUCAと聞いて、「不確実性の時代」を連想する人も多いだろう。1977年に経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスが著した同名の書籍は日本でもベストセラーになり流行語にもなった。その当時から世の中は「不確実」だと言われてきたわけだが、VUCAはそのアップデート版と言える。

VUCAはもともと1980年代、冷戦後に国際関係が複雑化し戦略が立てにくくなったことを表すアメリカ軍の軍事用語だった。それが次第にビジネス界にも広がり、2016年のダボス会議で使われたことから一般化した。今や戦争だけでなく、気候変動、大災害、IT技術による個人の影響力の増大なども絡み合い、状況はガルプレイスの時代からさらに複雑化している。

調査では、事業におけるVUCAの影響を聞いている。もっとも多い答えは「市場の変動が激しいため、計画通りに進めるのが難しい」というものだった。そのほか、「さまざまな要因が絡み合っているため、問題解決に時間がかかる」、「顧客のニーズや市場のトレンドが不透明で、正しい判断が難しい」、「プロジェクトやタスクが複雑化しており、各部門との連携が重要になっている」、「競合他社の動向が予測できないため、戦略の変更が頻繁に必要」などの意見があげられた。

VUCAという言葉は知らなくても、人々はすでにVUCAを実感している。対応策として、チーム内の協力体制や情報共有の重要性を尋ねると、9割以上の人が「感じる」と答えた。また具体的な対策を尋ねると、約6割の人が「新しいスキルを学ぶ」と答えている。ほかには、「新しい分野や役割へのチャレンジ」、「定期的な自己評価」、「上司などからのフィードバックの活用」、「コーチングサービスの利用」、「専門コミュニティへの参加」といった答えが聞かれた。

調査結果を受けてアクシス代表の末永雄大氏は、「これからの時代の変化に合わせて個人そして企業も共に、時代に合わせた取り組みを行なっていくべき」と指摘している。所属する組織がVUCA対応の業務プロセスやツールを導入しているかとの問いには、「している」が18パーセントに留まった。しかし、対応策に関する意見を聞けば、すでに人々はVUCAへの対応を個人レベルで始めていることがわかる。VUCAの時代には、柔軟に動ける有能な人材が活躍することになりそうだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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