キャリア

2024.08.08 11:30

米体操「シモーネ・バイルズ復活」から学ぶ、メンタルヘルスに関する教訓

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米体操選手のシモーネ・バイルズ(27歳)は、パリ五輪で3つの金メダルと1つの銀メダルを獲得した。

こうした偉業を達成した人に注目が集まると、彼らは超人的なパワーの持ち主であり、一般人のほとんどが日々直面する苦労や困難とは無縁なのだろうと考えてしまいがちだ。しかし、バイルズは2021年に行われた東京五輪で、世界中の重圧が自分の肩にのしかかっていると述べ、途中棄権した選手だ(ただし、平均台の決勝には出場した)。メンタルヘルスの問題を抱えていたのがその理由だ。

バイルズの前にも、テニス選手の大坂なおみが2021年、うつ状態と不安を理由に全仏オープンを棄権した。オリンピックで数々のメダル(金23を含む28)を獲得した有名水泳選手マイケル・フェルプスも、メンタルヘルスの問題を抱えて苦しんでいたことを公言している。

メンタルヘルスに関する会話に有名アスリートが加わることで、どのようなキャリアを歩んでいるのであろうと、心の健康を優先させることは弱みではなく強みであることを、世界中の人々に示すことができるだろう。

キャリア上の成功を収めてきた人たちが、スポーツ選手たちと同様のメンタルテクニックを活用していることは、繰り返し言われてきた。スポーツのパフォーマンスは、80%がメンタルだという話を聞いたことがあるはずだ。同じことは、ビジネス界のリーダーにも当てはまる。

だからこそ、スポーツ界やビジネス界で優れたパフォーマンスを達成しようとする人を指導するコーチは、認知再構成法(一定の状況で自然に浮かぶ思考を検討して修正し、客観視して心をラクにする対処法)や、神経言語プログラミング(NLP:思い込みや思考パターンなどを理解し、望ましい方向へと変化させていくアプローチ)、催眠術といった、効果が実証されている方法を取り入れて、生産性を最大化し、メンタルブロックを突き破り、ストレスを制御している。

筆者は、Rising Team(ライジング・チーム)の創業者で最高経営責任者(CEO)のジェニファー・ダルスキにメールで話を聞いた。同社は、チームパフォーマンス向上プラットフォームに関して業界をリードする企業だ。2021年の東京五輪の棄権を経て、2024年のパリ五輪で復帰したシモーネ・バイルズの決断は、大胆なものだったとダルスキは評価する。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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