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2024.08.06 18:00

行方不明のヘンリー8世の肖像画、SNSの投稿写真で発見される

「ある意味、まったく驚くことではない。『宝物はすぐに見つかるようなところに紛れている』ということは何世紀にもわたって起こっており、英人気テレビ番組『アンティークロードショー』などでも定番だ」とテックコンサル会社Pund-ITのアナリスト、チャールズ・キングは説明する。

「ヘンリー8世の一連の絵画の1枚が発見されたことは、インターネットが、往々にして無名であるコンテンツをいかに多くの人の目にさらすようになったかを示している。このケースでは、歴史的な絵画がどのようにしてその壁に飾られるようになったかが肝心な点の1つだ」とキングは話す。

見抜く目が必要

研究者たちは、何百万もの投稿の中から宝物を探し出そうとかなりの時間を費やすかもしれないが、たとえそれが可能だとしても、自分が何を探しているのかを正確に知る必要がある。印象派の絵画の専門家であれば、ヘンリー8世の肖像画を見逃してしまうか、見逃していることにすら気づかないだろう。

「もう1つの肝心な点は、その絵を見分ける訓練と経験を積んだ人が、絵が背景に現れた瞬間にその番組を偶然にも見ていることだ。ある意味、それは『100万分の1』で起こるものではなく、それ以上にまれなことだ」とキングはいう。

しかし、ここでもテクノロジーがソーシャルメディアを通じた検索に役立つ可能性がある。

「芸術作品について調べるとき、私はいつも画像を元に検索する逆画像検索を行う。作品のデータを網羅した印刷物のカタログを用いるような従来の方法では見つけられない作品の現在の所有者や所在を突き止めることができた」とカーンはいう。

人工知能(AI)の発展により、紛失物などを求めてソーシャルメディアを探し回ることは容易になるかもしれない。そしてそれは、芸術を見る目を持つ人々に活用されることになるだろう。

「訓練された専門家が個人的にますますソーシャルメディアを利用し、また自分のサービスや専門知識を宣伝していることから、紛失したり盗まれたりした美術品が特定されるケースは間違いなく増えるはずだ」と、美術品・骨董品鑑定士のリンゼイ・オーウェンはいう。

「ソーシャルメディアは、ハッシュタグやメンションを通じて、他の方法ではつながることのない二者をつなぐ方法を提供する。美術業界は意図的に不透明な部分があり、正しい専門家と連絡を取ることは難しいかもしれないが、ソーシャルメディアで専門家にメンションすることは誰にでもできる」とオーエンは語る。「1つ欠点があるとすれば、盗まれた作品の所有者はおそらくそのことに気づいておらず、複雑な返還手続きをする必要があるかもしれないということだ」と指摘した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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