海外

2024.08.20 08:00

「水からリチウムを生成」、廃水処理のユニコーンGradiantの野望

Gradiant 共同創業者 Prakash Govindan (左) ・ Anurag Bajpayee(中央)

このプロジェクトでは、樹脂と膜を使ってかん水からリチウムを抽出した後、独自技術で濃縮し、沈殿させて固体を生成して電池に使用する(これは、砂糖水から氷砂糖を作るプロセスに似ているが、その工程はより複雑だ)。
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グレイディアントによると、同社のリチウム抽出プロセスは、従来の採掘による方法に比べて速いだけでなく、二酸化炭素(CO2)排出と水資源への影響を低減するため、より環境に優しいという。また、ゴビンダンによると、かん水からリチウムを抽出する他の方法が蒸発池を使ってゆっくりとリチウムを濃縮させるのに対し、同社の操業コストは50%も低いという。

中国への依存からの脱却

このプロセスのメリットのひとつは、リチウムを中国に依存しなくて済むようになることだ。「米国は、必要なリチウムをすべて自国生産し、中国への依存から脱却することが可能だ」と、SLBの新エネルギー担当上級副社長としてグレイディアントのプロジェクトに参画し、3月に退職したアショク・ベラーニは話す。

米国地質調査所のデータによると、世界のリチウム消費量は2022年に13万4000トンに達し、2021年の9万5000トンから41%増加した。中国でのEV販売の伸び悩みもあって、リチウムの価格はここ1年で急落したが、長期的な需要は増加すると予想されている。

価格が低迷しているときに事業を始めるのは常識に反するようにも思えるが、ゴビンダンは利点があると考えている。「今後の価格上昇を見込んで準備している製品があり、その技術に対する需要もある」と彼は語った。
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forbes.com 原文

編集=上田裕資

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