2024.07.30 12:00

専用が必要?「EVのタイヤ」について知っておくべきこと(前編)

「まず、車両の種類を問わず、タイヤが本来の機能を発揮するためには、常に同じ3つの要素が必要であると指摘しておくことが重要でしょう。すなわち、適切なトレッドコンパウンド、適切なトレッドパターン、適切なトレッドの溝の深さです。タイヤが摩耗すると、もちろん溝の深さに影響が出ますが、トレッドパターンにも影響が出てその機能が失われます。そうすると、濡れた路面や雪道でタイヤが駆動力を発揮するために重要な3つの要素のうち、2つを失うことになります。この情報を念頭に置いて、タイヤの溝の深さが、濡れた路面を走行するつもりであれば4/32インチ(約3.2mm)、降雪が予想されるのであれば5/32〜6/32インチ(約4〜4.8mm)になったら交換することを、当社では推奨しています」

これをチェックする最良の方法は、タイヤのトレッドに25セント硬貨を頭から入れてみることだ。タイヤのブロックでワシントンの頭頂部が隠れるようであれば、溝の深さが4/32インチ以上残っていることになる(編集注:日本円の硬貨を使う方法では、5円硬貨を後端からタイヤの溝の中に入れ、「五円」という文字の3画目の書き出しにブロックが達していれば、溝の残りは約4mm以上ということになる)。タイヤのスリップサインは、道路交通法で定められている限界値である1.6mmにならないと現れない。

「摩耗以外の特性については、EVも内燃エンジン車とほとんど変わりません。ただ、EVでは他の騒音をかき消すエンジン音がないので、タイヤの走行ノイズがより目立ちます。そのため、EVドライバーの方が気にする人が多いかもしれません。同様に、EVのドライバーは内燃エンジン車のドライバーよりも、タイヤの転がり抵抗の低さを重視する可能性があります。しかし、突き詰めて考えれば、優れたタイヤの条件というものは、車両の推進装置にかかわらず同じなのです」
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翻訳=日下部博一

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