内燃エンジン車とEVでタイヤの要件を区別する米運輸省の公式な規定が存在しないため、市場には不正確な誤解を招く情報があふれており、EVのタイヤを交換する時に消費者はどうすればよいかということについて、多くの混乱が生じている。
EVではタイヤがどのように摩耗するのか、また、特別なEV用タイヤというものは必要なのか、そのあたりのことをもっと詳しく学ぶために、私は20年以上前からタイヤを購入しているタイヤラック社に取材を申し込んだ。インディアナ州サウスベンドに本社を置くこのタイヤ通販会社は、自社の専用研究施設でタイヤの評価・調査を行っていることに加え、消費者から寄せられた数百万キロメートルに及ぶ走行距離に基づいた消費者レビューをウェブサイトに掲載していることから、タイヤ販売業者の中でも独特な企業だ。したがって、これ以上のタイヤに関する情報源を見つけることは難しいだろう。
TJキャンペルはタイヤラック社のタイヤ・インフォメーション&テスト・マネージャーで、同社の広範なテストプログラムを監督している。私は彼に、現在のEVに必要なタイヤについて6つの質問をした。そして、彼はいくつかの洞察に富んだ(そして包括的な)回答をくれた。そこで私は、それらの貴重な情報を2回の記事に分けてお伝えすることにした(後編は近日公開予定)。
──EVと内燃エンジン車を比較するテストから、例えばタイヤの消耗などに関して、タイヤラック社は何を学んだのか?
「タイヤの寿命については、複数の不確定要素が関わっています。そして、EVに共通の瞬時に発生するトルク、増加した重量、ドライバーの挙動の潜在的な変化といったことは、すべてタイヤの摩耗の増加につながります。高性能EVの場合、メーカーは車重2トンのセダンにスポーツカーのような操縦性を与えようとして極端なアライメント設定を指定しますが、これがさらに状況を悪化させます。業界でよく言われるのは、『EVのタイヤの寿命は同等の内燃エンジン車と比べて20%短くなる』ということです」