「飲食店は3年で7割、5年で9割が廃業する」そんな現状を前に、持続可能な食産業を実現しようと挑む起業家がいる。有名スイーツや話題のラーメンなどのフードブランドを、加盟店が販売拠点となってデリバリーやイートイン、テイクアウトにより消費者に提供するフードライセンスシェアリングサービス「フーシェア」を展開している、WannaEat(ワナイート)創業者の牧本天増だ。
飲食店やホテル、レジャー施設などの加盟店は、商品開発コストも設備投資もなしで新メニューを販売し、新たな収益源にすることができる。2020年に創業し、現在110以上のブランドを取り扱い、加盟店数は全国約1500店舗。
起業したきっかけは大学入学後にマルチ商法の被害に遭ったことだった。1000万円もの借金を背負い、アルバイトでは返せないと事業を起こすことを決意。高校まで中国に住んでいた経歴を生かし、中国人留学生向け進学塾を開校。借金を全額返済すると、19年にブームにのりタピオカ屋をオープンした。知人のアイスクリーム店からデリバリー商品として自身のタピオカを提供させてほしいと頼まれたことが転機となり、「デリバリー向きの商材を集めて、運用や仕組みをつくれば飲食店に喜ばれるんじゃないか」と始めたのが今の事業だ。
22年にUSEN&U-NEXT GROUP参画後、加盟店は参画前と比べ3倍以上に伸長。海外でもフーシェアの仕組みを展開予定だ。「どこでも話題の味が楽しめる未来を目指すと同時に、1店舗でも多く持続可能な飲食店を増やしていきたい」。
まきもと・てんぞう◎1997年生まれ。中国出身で高校から日本に移住し、大学3年時に中国人留学生向け進学塾を立ち上げ。タピオカ屋を8店舗経営したのち、2020年にバーチャルレストラン(現WannaEat)を設立。22年にUSEN&U-NEXT GROUPに参画。
ブルゾン68200円、シャツ27500円/ともにランバン コレクション(ランバン コレクション 表参道店Tel:03-3486-5858)