経営・戦略

2024.07.30 10:15

イーロン・マスクやスタンフォード大学に共通 組織が動き出す「あるルール」

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生成AIをはじめとしたテクノロジー出現や地政学リスク、価値観の多様化にともない、社会の不確実性や変化のスピードは加速度的に高まっている。そうした時代のなかでも成功する組織、起業家に共通することは何なのか。

経営学分野で数々の受賞歴のある世界的権威であるスタンフォード大学のキャサリン・アイゼンハート教授に話を聞くと、いまの時代にこそ「シンプルルール」が重要だと説く。彼女の著書『SIMPLE RULES-仕事が速い人はここまでシンプルに考える-』(三笠書房 2017年発売)にも記されたそのエッセンスを聞いた。

分散型組織を生み出すシンプルルール

──スタンフォード大学は進化し発展し続け、世界の大学ランキングでも常に上位にいて、世界の中でも最も成功した大学です。スタンフォード大学の強さはどこから来ているのでしょうか。

スタンフォードには自分たちの世界を自分たちで運営する能力を持った人が集まるので、自然と才能ある人たちが集まります。その集まった人たちが主体的にプロジェクトに取り組んでいて、いわゆる自律分散型組織なのです。

ただ、分散型組織はときに人を怠惰にし、方向性を間違わせる可能性があります。仮に主体性に欠けた人材が入ってきた場合、活動が活発的でなくなったりするリスクがあります。

そのため、スタンフォードは採用にとても注意を払っています。スタンフォードは才能ある人を探してきて採用し、彼らには指示をしません。私を採用したときの学部長からは「キャシー、君の仕事は有名になることだ。そして、どのように有名になるかはあなた次第ですよ」と言われたことだったのを覚えています。

──分散型組織をつくるために必要なことは何でしょうか?

例えば、私が創業から関わっているSTVP(スタンフォード大学工学部にあるスタートアップ支援組織)では「革新的技術を用いた起業に関する研究や教育をやる」とだけ決めてやってきました。STVPの立上げ初期には私を含めて3人のコアメンバーがいましたが、私たち3人の間で物事を細かく調整するということはありませんでした。

新しいことを始めるには柔軟性が大事です。そういう大局的でシンプルな原則だけ決めれば、具体的内容は状況によって変わっていくものです。状況変化に適応するためには、大事なことを2〜3個だけ決めて、個々がやりたいことをやるためのスペースを残すことです。これが「シンプルルール」の要諦です。

スタンフォード大学では、時代の要請に伴って次々と研究教育プログラムが立ち上がっています。そうした立ち上げに関わって感じるのは、プロセスがシンプルであるということです。

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文=芦澤美智子 編集=露原直人

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