そんな時代を経て最近の東海バネ工業を見ると会社自体としてネコ化してきていると思います。というのも、うちに来るのは「他社ができない、やりたがらない」注文ばかりなんですね。
つまり、どうやって作るかを常に考えて、バネ作りに邁進しないといけないので、人の言うことばかり聞いていると、本来お客さんが「これ欲しい」「あれ欲しい」と言われることを実現できなくなります。そのためにも、社内的に自分達で考えて、実行できる仕組み、応援する仕組みをつくりながらやってきました。
だから、右向いておけと言われて、ずっと向いておくではなくて、あちこちうろうろしながら自分が正しいと思うことを試行錯誤しながらやれるような社員になっているのかなと思います。反面、昔のようなカリスマ性のある技師長はいなくなりました。そう言う意味では寂しいと思っています。
仲山:会社自体が、最近ネコっぽくなっているとおっしゃいました。以前はイヌっぽかったっていうことですか?
夏目:イヌっぽかったですね。でも木村さんがおっしゃったように、イヌの皮を被ったネコだったかもしれませんね。
仲山:すると、意外とすんなり、脱いでいいんだと気づく。着ぐるみを脱ごうって感じで。
夏目:瞬間的にそうはならなかったと思いますけどね。
時間もかかりながら、あるいは新しい人材も入ってくる中で、徐々に変わってきたのかなと。うちは工場が兵庫県豊岡市にあるんですけど、以前は兵庫県伊丹市にあったんですね。工場を伊丹と言う都心部から豊岡の自然豊かな場所に変えたことも大きなきっかけだったと思います。当時はベテランが伊丹にいましたがどんどんと定年を迎えて退職されていって、豊岡の工場には新しい人も入ってきて、人の入れ替わりも起こりました。
仲山:文化が変わりやすいきっかけがあったということですね。
後編へと続く。
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