経営・戦略

2024.10.08 14:15

「組織のネコ」という働き方 自律的組織に変わった老舗2社

木村石鹸工業代表取締役社長 木村祥一郎、東海バネ工業代表取締役社長 夏目直一、楽天大学学長 仲山進也(左から順)

4タイプを活かす組織文化づくり

仲山:最後に、S字カーブの図です。
advertisement

事業や組織の成長フェーズには「導入期・成長期・成熟期」があります。導入期、いわゆる新しいものを立ち上げるのは、トラ・ネコが得意な仕事なんですよね。「こういう世界をつくるんだ!」って言いながら、全然売上が立っていない状態。「どうしたらもっとお客さんに喜んでもらえますかね」とみんなで考えながらサービスや商品をブラッシュアップしていくうちに軌道に乗り始める。



そうすると成長期に入ります。売上が伸び、業務量も増えて、手が足りないから採用もする。そのうちに、誰かが「マニュアルをつくった方がいいのでは」と言い出すタイミングがきます。 でも、ネコは、「マニュアルっている?」というタイプです。そこでマニュアルをつくらないままにすると、トラブルが増えすぎて事業が失速したりするわけです。そういう時には、マニュアルをつくって運用するのが得意技なイヌへのバトンタッチがスムーズにいくような組織文化があれば、みんなハッピーになりやすいと思います。
advertisement

なので、トラ・ネコは導入期が得意で、マニュアルができると面白くないと言って不良化し始めます。そこを粛々とできるのが、イヌとイヌをマネジメントするライオン。トラとネコは事業が安定成長フェーズに移行したら、新しい事業を立ち上げる方に回るような役割分担ができるとお互い気持ちよく働けるのではないかと考えています。

ということで、ざっくりですが、「組織のネコ」の話をさせていただきました。

社員は実は「隠れネコ」だった

木村:僕も10個丸が付いていて、ネコのようです。うちの組織でいくと、親父が3代目で、僕が4代目で。3代目と4代目の間に、実は経営者が2人入ってました。親父もネコっぽい感じで、会社の所帯も少なかったので、ネコが多かったんだろうなと思います。ただ、間に入った2名は、どちらかというと、こじらせたライオン。イヌであることを強要するタイプだったんですよね、おそらく。

僕が来たときには、すごく従順な社員が多く、言われたことはちゃんとやりますっていうタイプばかりでした。でも、新しいことに挑戦するのは、後ろ向きだった。僕らはメーカーだから、新しい商品を開発していかないといけない。

「こんな新商品をつくりたいんだけど」と僕がアイデアとして出しても、できない理由ばかり上がってくる。社内の開発部門に相談しても、そもそもちゃんと聞いてくれない。できない理由を言われるので、外部に開発を依頼する流れになっていました。

でも、その人たちがもともとそうしたキャラクターだったかというと違ったんですよ。イヌが経営している間に、イヌじゃないと会社で生き残れないようにされてしまっていて。僕はそのままだとまずいなと思ったので、失敗を許容したり、応援するようにしました。

すると、すんなり新しいことにチャレンジできるようになったんです。これは元々ネコの人がイヌとして耐えていた、要は「隠れネコ」だったということです。今、当社のベテランたちは、その時代を「暗黒時代」と呼んでいるんですけど、僕が何かをやったわけではなくて、ネコをネコとして振る舞えるように変えたってことなのかなと、話を聞いて思いました。

仲山:ちなみに、僕が楽天に入った時は社員20名くらいで、三木谷浩史さんというトラがいて、あとは、大きめの会社に新卒で入ったんだけど、なんか違うなと第二新卒的に楽天に転職してきたネコが20匹、みたいな構成でした(笑)。夏目さんはいかがでしたか?
次ページ > 4タイプは常に変化していく

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事