経営・戦略

2024.10.08 14:15

「組織のネコ」という働き方 自律的組織に変わった老舗2社

木村石鹸工業代表取締役社長 木村祥一郎、東海バネ工業代表取締役社長 夏目直一、楽天大学学長 仲山進也(左から順)

「組織のネコ」という働き方

仲山:さて、今回のテーマである組織のネコって何?って話なんですけど。組織のイヌ、会社のイヌって慣用表現で使われますよね。組織に従順な人のことをイヌと言うので、イヌがいるならネコがいてもいいかなと思いました。ネコは自分の価値基準を大切にしながら組織で働きたいと思っているタイプです。言われたことをそのままやるとは限らないタイプ。仕事を振られた時に「なんでそれやらなきゃいけないんですか?」とか言ってしまうのがネコです。
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実は組織には4つの動物がいて、イヌとネコの他に、ライオンとトラがいます。で、考えてみました。「パフォーマンスが高い」のがライオンとトラで、「パフォーマンスがふつう」なのがイヌとネコ。そして、「組織の中央を志向」しているのが、ライオンとイヌで、「組織にいながら自由を志向」するタイプがトラとネコです。


4つの動物の相性を考えてみます。まずライオンとトラ。ライオンは群れを統率する係。役職のある従来型のリーダーです。トラは、会社にあまりいないタイプ。外をうろうろして、新しい仕事のネタを持ち帰ってきたりします。ライオンとトラは人間ができているというか、動物ができているので、「人ってお互い強みが違うよね」って思っている。ライオンからすると、トラは自分ができないことをやってくれているし、トラからすると自分がふらふらしている間に、ライオンがちゃんと売上や利益をつくってくれているから、ありがとうと「お互いリスペクト」できる関係性です。


次に、縦を見ていきます。イヌとライオンについて。イヌはライオンから「がおーっ」て怒られるとビビるので畏怖の念を抱いています。ネコはトラに憧れています。イヌとネコは軽蔑と書いていますが、ここが問題です。ライオンとトラほど動物(人間)ができていないので、自分と違う価値基準に対する許容度があまりなく、放っておくとバカにしがち。
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イヌからネコに対しては、「言われたことちゃんとやろう」「統率を乱すのはやめませんか」と。逆にネコからイヌに対しては、「言われたことだけではなくちゃんと価値あることやろうよ」「お客さんが喜んでくれるようなことをやろうよ」「上ばかり見て大変ですね」って思っていたりします。

斜めの関係が最も対照度が高くなります。ライオンは群れを統率する係なのに対して、ネコは群れるのが好きじゃないタイプ。でもライオンは多様性も大切だと理解している人なので、適切な距離感が保たれていればお互い気になりません。一番問題が起こりやすいのが、イヌとトラです。縦軸にパフォーマンスが高いと書いていますが、これは役職とは関係がありません。

会社で起こりうるシチュエーションとしては、イヌの上司の下に、トラの部下がついているパターン。トラの部下はイヌの上司が指示していないことを勝手にやってしまいがちです。例えば、上司が「イベントを開催して」とお願いしたら、トラ部下が勝手に京都のお寺を会場にしたり(笑)。「なんだあいつ」とイヌの上司は思ってしまいがちで、トラの部下は評価されないことがあります。
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