アート

2024.07.24 12:30

「私は単なるトラブルメーカー」アイ・ウェイウェイ、芸術と言論の自由を語る

──芸術活動に携わらないご自分を想像したことはありますか? また、アートの持てる能力に対して、信頼感をなくしたことはありますか?

私は今も芸術活動に携わっており、人々が私の行動を容認してくれていることを、うれしく思っている。何かしら実践しているのが、芸術家だ。私は間もなく67歳になるが、芸術家と名乗っていいだろう。

私の父は作家であり、詩人だった。いまだに自分を作家とは呼べないが、それでも芸術家より、作家になりたいと思っている。
New Installation In Piccadilly Circus(Photo by Leon Neal/Getty Images)

New Installation In Piccadilly Circus(Photo by Leon Neal/Getty Images)

──高名な詩人である父親のおかげで、詩人にはなれないということですか?

私にはそれほど才能がない。詩人は純粋で、より純真な状態になければならないが、私はすでに、「取り散らかって」いると思う。

──素材として、その他の玩具ではなくレゴを使うのはなぜですか?

磁器や木工品、詩、言葉、どのような媒体も、うまく使いこなすことができなければ、媒体にならない。非常に単純な構造物を、人が一生をかけて完成させ、磨きをかけてきたのだ。レゴにもそれらと同じ性質がある。40種類の色があり、レゴ社にはとても長い歴史がある。

──多額の資金をかけて、レゴブロックを入手されています。提供を断られた当時、あなたが「検閲と差別だ」と批判したことを受けてレゴ社が方針を転換したことが、レゴを使用する理由ですか?

まず、芸術作品は値段がつけられないほど、高価なものだ。そのため、何を使っていても、それは問題ではない……値段をつけるのは、過小評価することだ。金やダイヤモンドを使うこともできるが、それでも価格はつけられない。私は心から、そう考えている。

次に、レゴからは当初、ブロックの使用を拒否されたが、私はそのとき、不可能に思えることもやってみるべきだと勇気づけられた。ギャラリーからも友人たちからも、本当に幅広い支援を受けた。

私がレゴでつくった作品をみるとき、子どもたちは、レゴにはそのような使い方もあるのだと、とても驚いた表情をみせる。もちろん、私の作品すべてが、子どもの遊びのためのものというわけではない。子どもっぽいところもあるが……私の作品には同時に、非常に深い、政治的な、あるいは個人的な意味合い、または芸術的テーマがある。

──開催中の「Neither Nor」は、曖昧さと矛盾の概念を追求したものだとされています。この個展について、教えてください。

個展のタイトルは、実はジャスパー・ジョーンズの作品名からとっている。それは、私がずっと関心を持ってきた「二つのものの『間』」に関するものだ。「Neither Nor」は、私の精神状態を表している。状況があまりに複雑で、単純に「イエス」か「ノー」で答えることができず、「どちらでもない(Neither Nor)」と言うことは非常に多いが、その状態は、説明するのがとても難しい。
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編集=木内涼子

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