アート

2024.07.20 12:00

アート・バーゼル「Unlimited」2024、注目の7作品を振り返る

Art Basel Unlimited 2024(Courtesy of Art Basel)

世界最大規模のアートフェア、アート・バーゼルの大型作品部門「Unlimited(アンリミテッド)」が2024年6月13日から、4日間にわたって開催された。巨大なインスタレーションや彫刻、ウォールペインティングやプロジェクションマッピングなどを展示・紹介するこの部門で、キュレーターを務めたのはスイスのクンストハレ・ザンクト・ガレンのディレクター、ジョバンニ・カルミネ。今回で4度目の担当となった。

6月13日には「アンリミテッド・ナイト」と題して開館時間を延長し、特別パフォーマンスを披露したほか、すべての部門に出展された作品について初めて、来場者による人気投票を実施。芸術的な表現と鑑賞者のエンゲージメントの「限界を押し広げる」ための試みも実施した。

以下、従来の展示スぺースに収まらない「限界を超えた」巨大な作品を展示する類いまれなこの展覧会で注目された、主な作品を紹介する。

塩田千春「拡がる線(The Extended Line)」 2023~24年(テンプロン・ギャラリー)

Chiharu Shiota (Courtesy of Art Basel)

Chiharu Shiota (Courtesy of Art Basel)

がんサバイバーとしての経験に着想を得た作品。生と死、そしてつながりという普遍的なテーマと共鳴するイマーシブ(没入型)な環境を創り出したこのインスタレーションは、16メートル×9メートルの大きさ。数百キロメートルもの長さに及ぶ赤い糸が、上部から吊るされている。

力強いこの作品は鑑賞者たちに、自らの経験や感情についての熟考を促し、人生における苦しみ、後悔、喜びは共通のものだということを強調している。

ジュリオ・ル・パルク 「Zeppelin de Acero」2021年(ガレリア・コンティニュア)

展示された「Zepelin de Acero」(鋼のツェッペリン)は、2021年に銀座メゾンエルメスのアートギャラリー、フォーラムで開催した「ル・パルクの色 遊びと企て」で発表された巨大なスチールのインスタレーションを再解釈したもの。動きと不安定さ、ひとつの出会いにおける多様な経験に対する認識に疑問を投げかける作品となっている。

1960年代にパリで発足した視覚芸術研究グループ(Groupe de Recherche d’Art Visuel、GRAV)の創設メンバーであり、キネティック・アートとコンテンポラリー・アートのパイオニアであるル・パルクは、鑑賞する人たちとの積極的な関わりを目指し、アーティストと鑑賞者という従来の立場に疑問を投げかけ続けている。

草間彌生「Aspiring to Pumpkin’s Love、the Love in My Heart」 2023年(デイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリー)

Yayoi Kusama (Courtesy of Art Basel)

Yayoi Kusama (Courtesy of Art Basel)

特徴的なドット(水玉)が描かれた巨大なブロンズ製のカボチャは、彼女に特徴的なスタイルのオブジェ。2023年発表の「南瓜」シリーズのひとつであるこの作品は、カボチャを波打つような、超現実的なフォルムに変貌させている。

「ミクロとマクロ」をつなぐ草間の作品は、複数の視点からの鑑賞を促し、空間と形のダイナミックな相互作用を明示している。
次ページ > 「再現」されたヘリングの作品も登場

編集=木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事