ヘルスケア

2024.07.19 13:00

暑い夏、1日に飲むべき水の量は「尿とその頻度」でわかる

そのような状況において、身体の中で最も大きなメガホンを握っているのは「喉の渇き」だと思われるかもしれない。確かに、喉が渇いているときには、低ナトリウム血症のような状態にならないように、電解質も十分に摂るようにしながら、水を飲むのは良い考えだ。しかし、喉の渇きは当てにならないこともある。喉が渇いていなければ、身体が水分補給を必要としていないとは限らないのだ。喉の渇きだけを頼りに水を飲むようにするというのは、酒を飲み過ぎないようにするためにパーティ仲間だけを頼るようなものだ。

頭痛や立ちくらみ、めまい、皮膚の張りの変化(ツルゴール反応)のように、脱水症状の兆候が出てからでは遅い。脱水症状は、熱痙攣、熱射病や熱性疲労、尿路感染症、腎結石、腎不全、発作、血圧低下、ショック症状など、深刻な合併症を引き起こすおそれがある。つまり、水分補給が遅れると、ケニー・ロギンスの曲を引用すれば「危険地域への高速道路(Highway to the Danger Zone)」を突っ走ることになりかねないということだ。

喉の渇きよりも、最も注意しなければならないのは、そう、尿と排尿の頻度である。腎臓が正常に機能していれば、脱水状態になったときには体内に水分を保持し、体内の水分量が多いときは余分な水分を尿にして排出する。これは尿の色に反映される。尿の色が薄いほど、腎臓から排泄される老廃物に対して尿に含まれる水分が多いということだ。

反対に、尿の色が濃いほど、腎臓が水分を尿に流れ出さないようしているということになる。尿はごく淡い黄色か、もっと透明に近い色を保っているのが理想的だ。尿の色が濃いということは、水を飲むべき時であるということを意味する。

トイレで自分の尿を見れば、どのくらいの量の水を飲むべきかがわかる。(Shutterstock)

トイレで自分の尿を見れば、どのくらいの量の水を飲むべきかがわかる。(Shutterstock)

また、2時間から4時間に1回程度は排尿するべきだ。最後にトイレへ行ったのがいつだったか、確かめるためにカレンダーを出さなければならないようでは水分の摂取量が少なすぎる。もちろん、尿の量も重要である。チョロチョロと滴る程度では1回として数えない。つまり、トイレへ行ったら尿の色と量を気にすることだ。

尿に毎日注意していれば、1日にどのくらい水を飲むべきか、すぐに感覚として掴めるようになるはずだ。身体を多く動かしたり、空気が乾燥していたり、外が暑い日には、水を飲む量が増えるだろう。普段はどのくらいの水を飲むべきであるかを把握していれば、いつでも状況に合わせて増やすことができる。

そして、このような状況に対して積極的に先手を取るのだ。例えば、暑い日に外出するときは背の高いコップ一杯の水を飲むようにする。これから運動を始めるというようなときも同じだ。30分ごとにトイレへ行きたくなるようであれば、いつでも水分摂取量を減らすように調整すればよい。

これもまた、自分の身体が伝える声に耳を傾けなければならないわけだが、周囲に気を取られるようなことがあると難しい場合がある。だから、一番に気をつけるべきことは、トイレへ行く度に尿の状態に注意を払う、ということである。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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