学術誌Nature Communicationsに16日付で掲載された最新論文では、波や海流、河口や海峡といったタイタンの奇妙な液体域についてより多くのことが明らかになっている。
論文では、2004年から2017年まで土星を周回探査したNASAのカッシーニ探査機の観測データアーカイブを使用した。2005年年にカッシーニからタイタンに投下された着陸探査機ホイヘンスは、観測史上初となるタイタンの表面を撮影した画像を地球に送信した。そこには、地球を思い起こさせる古代の乾いた海岸線や、メタンの川が見えていた。
NASAは、2028年に無人探査機ドラゴンフライをタイタンに向けて打ち上げる準備を進めており、タイタンの液体域に関するより多くの情報が、ミッション計画チームの助けになるに違いない。
地球に似ている?
タイタンは、現在知られている最も地球に似ているとされる場所だ。大気(98%が窒素で2%がメタン)があるだけでなく、降雨や氷、湖、海、渓谷、山の尾根、メサ(卓状台地)、砂丘などもある。地形を特色づけているのは、広大な砂丘地帯、平坦な平原と、極地域にある液体炭化水素の大きな海(Mare)や湖(Lacus)だ。タイタンの表面温度は氷点下179度前後で、重力は地球の14%だ。太陽光は、地球が受ける日照量のわずか1%しか届かない。なので、タイタンは地球に似ているとは言い難いが、水ではなく液体メタンの流れがタイタンの表面をどのように形作っているかを示す空撮画像やレーダー画像を見ると、そのように思えるのだ。
タイタンの北半球にある小規模な湖は、直径が16km以上で、深さが約90m以上もあり、大きな丘や台地の上に位置している。