逆風吹くも、株価は割安か
2021年から2022年にかけて直面した、デジタル決済サービス大手でアリババ傘下のアント・グループに対する規制強化の悪影響は、すでに過ぎ去ったように思える。アリババはまた、ピンドゥオドゥオのような低価格路線のライバルに近づくために、戦略を転換しつつあるのも良い兆候だ。バリュエーションも魅力的な水準である。現在の株価は予想利益の9.5倍以下で取引されており、今後少なくとも2期は1桁台後半の成長が続くと仮定すると、現在の株価はとても魅力的な水準だと私たちは見ている。アリババは自社株買いも倍増させており、2024年6月を期末とする四半期中には約58億ドル(約9065億円)を投じて7700万株の預託株式を買い戻した。
バリュエーションの観点で言えば、アリババはアマゾンと比べてはるかに有利である。アマゾンは予想利益の約42倍で取引されている一方で、目先の収益成長予測はアリババに比べてわずかに高いだけである。確かに、潜在的な規制強化の可能性や、政治的な懸念を考えると、中国企業への投資のリスクは比較的高い。しかし、それを差し引いたとしても、これほど大きなバリュエーションの差は正当化できないのではないかと私たちは考えている。
また、アリババのクラウド部門においてAI関連の需要が高まっているという良い兆しも見える。同社によると、直近の四半期ではAI関連の売上高が3桁の伸びを記録しており、このAI分野での成長がクラウド部門全体を牽引する可能性が高い。そうした背景を踏まえ、私たちはアリババの目標株価を、現在の株価より約37%高い107ドルとしている。
(forbes.com原文)