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2024.07.18 11:00

【米国株ウォッチ】フォード、主力トラックの好調とEV需要の鈍化が追い風に

Bill Pugliano/Getty Images

Bill Pugliano/Getty Images

米国の自動車大手、フォード(ティッカーシンボル:F)の株価は年初来で約18%上昇した。比較として、同業であるゼネラル・モーターズ(GM)の株価は、同期間に30%近く上昇している。フォードの株価上昇の大部分はここ1カ月ほどのもので、株価はこの1カ月で20%近く上昇した。

今後数週間以内に予定されているフォードの2024年度第2四半期決算は、個人消費の伸びが緩和する中、まずまずの結果となりそうだ。しかし、多くの投資家は、好調なトラック販売高、電気自動車(EV)関連の設備投資額の減少、キャッシュフローの改善による株主還元の増加など、フォード株にはいくつかの好材料があると見ているようだ。さらに、フォードの株価はここ数年、その好調な財務実績と比べると大きく遅れをとっており、株価水準は魅力的なものになっている。

主力のFシリーズが奮闘

第2四半期の総販売台数は前年同期比で約1%増加した。成長を牽引したのは主にトラックで、その販売台数は5%増加した。同社の主力トラック、Fシリーズの販売台数は19万9463台に達し、2024年モデルの最新型であるF-150の生産が増加したこともあり、前四半期比で30%増加した。これは、平均販売価格の増加につながる良い兆候となるだろう。

F-150は、他のモデルと比較して利益率が高く、依然として同社にとって最も収益性の高い製品ラインである。性能面でも、F-150はライバル車のシルバラード(シボレー)やラム(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)を大きく引き離している。また、フォードは、ガソリン、ハイブリッド、EVなど、パワートレインのラインアップを多様化しており、トラック市場のあらゆるセグメントでその地位を確立しつつある。ハイブリッド版F-150の販売台数は前年比38%増の3万3674台だった。

EV需要の鈍化は追い風に

以前はフォードのEV移行のペースが遅かったことが株価にとって逆風だったが、EV市場の減速に伴い、その逆風も衰えつつあるようだ。EV需要は冷え込んでおり、テスラの第2四半期における販売台数は5%近く減少した。EV需要の伸びが鈍化することで、フォードにとってはガソリン車から収益化する時間的な猶予が増える一方で、長期的なEV化を見据えて穏やかなペースで開発を続けていくことが可能になる。

フォードのEV部門であるフォード・モデルeは、他の自動車部門が合計で39億ドル(約6169億円)の利益を得たのに対し、13億ドル(約2056億円)の営業損失を出した。不採算で、予想以上に成長が鈍化している分野に対する投資が鈍化することは、株主にとってはプラスと捉えられる可能性がある。さらに、ハイブリッド車の市場は回復傾向にあり、フォードのハイブリッド車販売台数も大幅に拡大した。第2四半期における米国での販売台数は、前年同期比56%増の5万3822台と、四半期ベースでの新記録を達成した。これは、当面の同社の収益性にとって追い風となるはずだ。
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翻訳=江津拓哉

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