もう一つの要因は、製品の供給元を詳しく調べることの難しさかもしれない。例えば、ある米国メーカーが中国企業から部品を購入していたが、同等のものを提供する国内企業を見つけたとする。それはリショアリングのように聞こえるが、その国内企業による部品はどのように作られているのだろうか。中国から輸入された構成部品が含まれていないだろうか。最も重要な構成部品が依然として中国産である可能性もある。すべての製品の本当の出所を把握するには時間と手間がかかる。
脱グローバル化は、企業が海外のサプライヤー、特に中国や人件費の安いその他の国々に依存しているという批判がきっかけとなった。米国の製造業は空洞化していると言われた。製造業の雇用という意味では、それは事実だ。1979年にピークに達した製造業の雇用は現在、ピーク時の3分の1にまで落ち込んでいる。生産高はそれほど問題ではなく、2007年のピークからわずか6%減にとどまっている。改革を主張する人々は、国際貿易協定によって米国内の雇用が減少し、経済格差が拡大し、労働や環境を保護する基準が下がったなどと訴えた。
脱グローバル化に向けた米国の動きはトランプ前大統領の関税導入で加速し、最終的にはバイデン大統領もこれを支持した。大規模なインフラ支出には、一定比率以上の米国製品を使うよう求める「バイ・アメリカン」要件が含まれていた。CHIPS法では米国での半導体製造に補助金を出した。
他の国々は、欧州のCHIPS法のように国内生産への補助金を増やした。ウクライナ侵攻後、ロシアに何らかの制裁を科した国も多い。英バークレイズのアナリストは、輸送部門における環境規制の強化は国際貿易の関税として機能すると指摘した。
世界は脱グローバル化しておらず、今後も完全に脱グローバル化することはないだろう。貿易はまだ成長するかもしれないが、そのペースは経済の成長を下回りそうだ。現在のところ、国際貿易が世界経済より速く成長する要素は見当たらない。
(forbes.com 原文)