トランプ前大統領が大統領に返り咲いた場合の政権移行プランの骨子とされる『プロジェクト2025』と呼ばれる文書が今、注目を集めている。保守系のシンクタンクがまとめたこの文書は、第2次トランプ政権のための広範な計画をまとめたもので、トランプと同じ思想を持つ人材の採用から、特定の政府機関の解体、Woke(ウォーク)と呼ばれる社会的正義を重視するエリート主義の排除までが含まれている。
プロジェクト2025は、ヘリテージ財団が100以上の保守派グループの助けを借りてまとめたもので、次期トランプ政権が採用を目指す人材のリストや、それらの職種のトレーニングプログラム、さらには、トランプが最初の180日間に何をすべきかを詳述したチェックリストが含まれている。
トランプ自身は、この計画に公式には関与していないが、この計画の一部は、元トランプ政権のメンバーやトランプの支持者によって書かれている。トランプは以前、ヘリテージ財団を称賛していた。
プロジェクト2025で最も注目されているのは、900ページに及ぶ「Mandate for Leadership(リーダーシップのための使命)」と題した項目だ。この項目は、「エリートによる支配とウォークカルチャーに対抗するために保守派とアメリカ国民を団結させるための計画」と定義されている。
下記に、プロジェクト2025に記載された計画のいくつかを解説する。
人事:プロジェクト2025は、政権の重要な職務において、大統領と思想が一致する人材の採用を大幅に増やすことを提案している。また、現在その職に就いている多くの非党派のキャリア公務員を置き換えることを目指し、あらゆる重要なポジションに解雇権限を持つ政権の政治任命者を配置する大統領令を出すことを提案している。
連邦機関:この計画は、小さな政府を提案するもので、教育省や国土安全保障省、海洋大気庁、消費者金融保護局などの廃止を含んでいる。これらの機関の残存する部門は他の機関に統合されるか、民営化される予定で、ここには運輸保安局も含まれている。
トランスジェンダー:この計画は、トランスジェンダーの権利や性自認を一貫して拒否するもので、トランスジェンダーの米軍への入隊禁止を復活させ、公立学校の教師が親の許可なしに正式な名前以外で学生を呼ぶことを禁止する。また、政府の資金が性転換手術やホルモン療法などのトランスジェンダーのためのサポートに使われることを禁止する。
気候変動:プロジェクト2025は、バイデン政権によるパリ協定への復帰を含む、連邦政府の気候関連の取り組みの多くを撤回するよう提案している。この計画は、国内の石油・ガス産業への規制を撤廃し、グリーンエネルギー源を軽視し、農務省のサステナビリティへの注力をやめさせ、気候変動の研究を制限する。
中絶:この計画は、中絶を制限する多くの措置を取ることを求めている。例えば、食品医薬品局に中絶薬のミフェプリストンの承認を撤回させる、連邦資金が中絶のための医療保険の支払いに使われることを禁止する、州がすべての中絶を連邦政府に報告することなどが含まれている。