北米

2024.07.12 12:00

米右派が「もしトラ」で狙うFRB解体とビットコイン導入の可能性

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秋の米大統領選挙でドナルド・トランプの返り咲きを想定するという保守系のシンクタンク、ヘリテージ財団は、「プロジェクト2025」と呼ばれる政権移行構想を以前から公表していた。

トランプは7月6日、「このプロジェクトについて何も知らないし、誰が背後にいるのかも知らない」とTruth Social(トゥルースソーシャル)に投稿したが、その直後にバイデン大統領は、「プロジェクト2025は米国を破壊する」とX(旧ツイッター)に投稿している。

プロジェクト2025の計画は、920ページにおよぶ膨大な文書で説明されており、その中には、連邦準備制度(FRB)を解体し、フリーバンキングと呼ばれる銀行制度を導入することや、コモディティ(商品)に裏打ちされた米ドルに替わる通貨を創設することが含まれている。これを受け、ビットコインが金よりも魅力的になることに自信を深める人が増えている。

トランプ政権で大統領補佐官を務めたポール・ウィンフリーは、プロジェクト2025の計画の中で、「19世紀には、ドルの裏づけは一般的に金だった。例えば、1ドルは約1/20オンスの金として定義され、発行銀行で即座に交換可能だった」と書いている。

「今日では、私たちは多くの銀行が金で裏づけることを期待するが、他の通貨や株式、不動産などの資産で裏付けることを好む人もいるだろう」と彼は述べている。

ウィンフリーはまた「フリーバンキングは安定した健全な通貨と強力な金融システムをもたらし、顧客はリスクの高い発行者を避け、それらを市場から駆逐する」とも述べている。彼の計画は、銀行がビットコインなどの暗号資産で通貨を裏付ける道を開くと考えられる。

「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコインは、ウォール街に受け入れられ、エルサルバドルでは公式通貨として採用され、ここ数年で価格が急騰している。

世界最大の資産運用会社であるブラックロックのCEOのラリー・フィンクは昨年、ビットコインと暗号資産が「金融を革命する可能性がある」と述べたが、これが引き金となって1月に現物ビットコインのETFが承認された。

2010年に初めてビットコインを購入したと主張する著名投資家のチャマス・パリハピティヤは、先月のYouTube番組All-In Podcast(オールイン・ポッドキャスト)で、将来的に「ビットコインが金を完全に置き換える可能性がある」と予測し、ビットコインの時価総額が金と同等の15兆7000億ドル(約2500兆円)に向かって上昇していくと述べていた。

一方で、ジェフリーズのアナリストたちは、経済の崩壊とインフレの再来への懸念から、FRBがドルを無限に生み出す印刷機を再び稼働させることを余儀なくされ、米ドルが崩壊し、ビットコインを金に匹敵する資産に押し上げる可能性があると警告していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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