アジア

2024.07.15 08:00

物価の伸び悩みに喘ぐ中国、長引く「消費の低迷」

それに伴い、過去5カ月間における中国の対EU輸出は10%、対米輸出は17%減少した。こうした減少にもかかわらず、中国の輸出全体が増加しているのは主にロシア向けが60%、中南米向けが約17%、東南アジア向けが7%増えたためだ。ロシアへの輸出の増加は、西側諸国の広範な対ロ禁輸措置のために、ロシアにとって中国が唯一の供給源となっている状況を如実に表している。中南米と東南アジアへの輸出の増加の大半は、米国や欧州の関税やその他の規制を回避するために中南米と東南アジアに設置された中国企業の工場への部品の出荷によるものだ。米国もEUもこうした回避を阻止するための措置を講じつつある。

たとえ米国や欧州が中国製品を今以上に輸入していたとしても、低迷する需要の代わりとして製造能力を高めようとする中国政府の取り組みは過ちだっただろう。国際通貨基金(IMF)などの国際機関はここ数年、中国に対し、製造業の輸出に依存せず、国内主導の成長モデルに軸足を移すよう助言してきた。中国は時にこのアドバイスを受け入れ、そのような調整を政策に盛り込んできた。中国が昨年行った代替の策は必要とされる根本的な調整とは真逆のものだった。折しも米国や欧州が態度を変え、タイミングも悪かった。生産者物価指数の下落は中国経済が抱える別の問題を声高に物語っている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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