これからはTikTokも長尺動画に?
最終パートでは、TikTokにおけるブランデッドムービーの未来、ブランドコミュニケーションの未来についてトークが展開された。
「ショートフィルムはまだ始まったばかりの黎明期だと思っているが、いま急速に投稿数と視聴率が伸びてきている。ここからどうなるかというと、より一層多様化してくるのではないかと思っています。現在のショートフィルムの傾向は大きく分けると2つあって、一つは上田監督のようなアイデアファーストの作品。もう一つはテーマ重視の作品で、いじめや家族のすれ違いなどといったテーマをベースにして作っていくやり方です。それが、今後は多様化してくるのではないかと思います。SFだったりホラーだったり、海外だと時代劇なども結構人気のショートフィルムになっている。ここからは多分、日本ならではの進化をしていくだろうと期待しています」(橋本氏)
「コメント欄」の重要性
「最近TikTokでは、1分以上の長さの動画の投稿がどんどん増えています。今までは短尺がバズりやすかったが、いかに長尺でバズれるか、これを早めに制すことが、今後重要になってくるのではと思います」(海野氏)
ブランデッドムービーをTikTokで発信するにあたってポイントとして海野氏と橋本氏ふたりが指摘したのが、動画だけではなくコメント欄の重要性だ。ユーザーがコメントをしやすいプラットフォームだからこそ、コメント欄で議論がされる動画か否かを意識して制作するとよいという。
加えて、今後おそらく議題になりそうなこととして橋本氏が投げかけたのは、商品(プロダクト)をショートフィルムの中でどれだけ露出するのが正解なのか、ということ。
「商品を入れすぎるとムービーの世界観を壊してしまう、入れなかったら広告としてどうなのか、という、ベストなバランスはどこにあるのかがポイントになってくる。パッケージを大きく映すのではなく、商品がどんな世界を作るのか、どのように人の気持ちを変えるのか、などを伝えていく、ということになるかなと思います」
最後のトークテーマは、登壇者それぞれが見たいTikTokのブランドムービーのアイデアについて。橋本氏はTikTokでは最長10分までの動画が投稿できることを踏まえで以下のように希望を語った。
「10分の広告枠を使って10分視聴させるのはたしかにハードルが高いですが、ショートフィルムのやり方であれば十分可能ではないかと思う。僕の知る限り10分アドは見たことがないので、世界初の10分アドを作ってみたいですね」
海野氏はTikTokと音楽との親和性の高さを指摘したうえで、「企業CMに使われた曲をテーマにドラマなどを作る。その動画の中で企業が伝えたいストーリーを伝えつつ、また音楽がバズれば、その曲を聞くたびに視聴者に商品のことを思い出してもらえる。そういった好循環のようなものを作れれば」とコメントした。
「商品やサービスにおいては企業間の差がつきづらくなっている現在、どこで差がつくのかといえば、そのブランドが何を考えて商品を作り、何を問題だと思い、世の中をどうしていきたいと思っているのか、そのブランドへの人々の共感度でしょう。そのために、BRANDED SHORTSは一つのソリューションになるのでは」と橋本氏がまとめたとおり、ブランデッドムービーが今後ますますの展開を見せていくことを予感させるセミナーだった。
※各セミナーの詳細は、BRANDED SHORTSのNOTEでも書き起こしを掲載。
※なお、「BRANDED SHORTS 2025」に向けた公募が8月1日からスタートする。
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