冒頭0秒から視聴者を惹きつけることが重要
動画制作で気をつけなければいけない点として、海野氏は冒頭0秒の視聴離脱を挙げた。
「2秒までの離脱率は70〜80%と言われているので、それをどうやって引き止めるか。引き止めるためのやり方はいろいろあるが、その引き出しがどれだけあるかによって再生数の伸ばし方を最大化できるのでは」
橋本氏も同様に「冒頭にテキストでインパクトのあるメッセージを入れる、面白いシーンやハイライトを見せていく、という方法は王道ですね。縦型に適したやり方を意識しながら動画を制作することが大事です。例えば人物にフォーカスする、人そのものでアイディアを表現するとか」と語った上で、成功例として上田慎一郎監督の作品を例に挙げた。
本イベントでは、TikTokで展開しているブランデッドムービーの事例として、2作品が紹介された。まずは、オーストラリアの吸⽔ショーツブランド「Modibodi」による作品、『死にそうな私たち』(Iʼm Dying Inside)(BRANDED SHORTS 2024インターナショナル部⾨受賞作品)だ。シェアハウスに住むZ世代の女性たちが、生理中の体験談など⾚裸々な会話を繰り広げる、という内容で、登壇した3名は「攻めた作品」と評した。
「日本のショートフィルムとはだいぶトンマナが違いつつも、しっかりTikTokテイストの作品。生理というタブー視されることもある話題についてだが、みんなで共感できる内容で、『私もこの気持ちわかる』といったコメントが多く付いたのでは」(橋本氏)。
続いては、アンファーの「スカルプD」のPR動画として制作された『クローズ課長とオープンおじさん』の上映。TikTokがカンヌ国際映画祭と提携してグローバルで開催したショートフィルムコンペティションでグランプリを獲得し、ショートフィルム(ショートドラマ)の第一人者のひとりとして活躍する上田慎一郎氏が監督した作品である。ユニークな着眼点から笑えつつ心温まるストーリーが展開される作品で、「上田監督作品がほかのショートフィルムの作り方と根本的に違うところが、アイデアファーストであるという点」だと橋本氏がコメントした。