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2024.06.04 14:15

駆除専門業者に聞いた「トコジラミ生息調査と処理作業」の実情

作業中の様子(写真提供=三共消毒)

トコジラミ被害が世の中を騒がせている。やられると悲劇で、「『蚊に20か所以上、一気に刺されたようなひどいかゆみ』に襲われ」ることもあるという(NHK NEWS WEB より)。


悩む人口は増えるばかりのようで、この4月には対策のための書籍も刊行されたほどだ。


では、このやっかいな「害虫」と、われわれはどうやって戦えばよいのか。もし自宅で発見したら、どう「駆除」すればよいのか。


以下、環境衛生事業一筋99年、害虫防除のプロである「三共消毒」の技術部部長、森義行氏にメールインタビューした。
──御社が行う「トコジラミ清掃」は具体的にどういったものでしょう?

三共消毒 技術部部長 森義行氏(以降、「森氏」):処理内容はおおむね次のように行います(※状況により処理内容・使用薬剤等は変更になる場合があります)。

1. 生息調査

本当にトコジラミの被害なのか、生息種の確認を行い、範囲などを調査します。

2. 処理範囲の確定と注意事項

調査をもとに作業範囲を決めます。

乳幼児・ペット・高齢者・化学物質過敏症者の有無などを「問診」、使用薬剤について、また薬剤処理によるリスクや処理方法などをご説明します(内容に了解が取れたら、同意書の取り交わし。実施不適と判断された場合、受注をお断りするケースも)。

3. 処理作業の概要

(1)エアゾール剤による薬剤処理

カーバメイト系薬剤を主としたエアゾール剤で、成虫・幼虫に直接噴霧し、トコジラミの動きを止めます。生息数が多い場合は、状況により、最初にバキュームクリーナーで虫体を吸い込み、除去します。

(2)スチームクリーナーによる加熱処理

主に「虫卵の駆除」を目的に、スチームクリーナーを用いて虫卵・成虫などを加熱駆除します(※虫卵には薬剤が効きませんのでスチームで加熱駆除します)。

(3)残留処理

処理後に孵化してくる虫体や、薬剤処理漏れの虫体に対して有機リン系薬剤を用いて、生息場所周辺に残留散布処理を行います。当社の仕様では、効果判定を含め、「同作業の2回実施で1クール」を原則としています。

──「トコジラミ」駆除のリクエストは、最近実際に増えているのでしょうか?

森氏:以下は、NHKで発表された「東京都ペストコントロール協会」出典の資料です(相談件数データであり、実施データとは数字は異なります)。

2019年に一時ピークを迎え、その後コロナによる入国制限もあったものの、以降も件数は高止まり。2019年までに、ある程度国内での生息が定着したことが読み取れます。

現在インバウンドの影響もあり、相談件数は増加の傾向にあります。

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