飽和脂肪の摂取量は、食事から摂取する総エネルギー量の11%以下に抑えることが推奨されている(1日あたり女性で20g、男性で30g以下)。だが、米疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、米国人の平均的な食事に脂肪が占める割合は、実に36%に達している。こうした過剰な脂肪摂取は、体重増を招くだけでなく、今回の研究結果で示唆されているように、不安感を増大させている可能性がある。
UCボルダー校の研究チームは、以前の研究で、主に飽和脂肪からなる高脂肪のエサを食べているラットでは、神経の炎症や不安様行動の増加が認められたことを確認している。
2019年のある研究では、飽和脂肪酸や糖分、そしてこれらを多く含む超加工食品が多い食事を、より健康的なものに置き換えることで、うつ状態や不安が和らげられる可能性があることが判明している。
一部の魚や食用油、ナッツ、植物の種などに含まれている健康的な油脂は、抗炎症作用があり、脳にもプラスの効能が期待できる。こうした油脂が含まれる食品の例としては、菜種油、オリーブ油、アボカド、ブラジルナッツ、亜麻の種子、サバや鮭などがある。
ローリー教授からは、健康なマイクロバイオームを支えるために、可能な限り多様な種類の果物や野菜を食べる、食事に発酵食品を取り入れる、超加工食品やファストフードを避ける、というアドバイスがあった。さらに、ハンバーガーなどの健康に悪い脂肪分を含むメニューを食べる時は、アボガドを1切れ追加するといいという。良質な脂肪は、悪い脂肪の影響をある程度和らげる効果が期待されるそうだ。
「人間の進化の道のりを考えれば、納得できる話だ」とローリー教授は解説した。「我々の体には生まれつき、病気を引き起こす有害なものに気づき、次に再びこうしたものに出会った時に避けられるようにする仕組みが組み込まれている」
(forbes.com 原文)