とりわけ、日銀が黒田東彦前総裁のもと、量的緩和を拡大した2013年以降はそれが顕著だ。不運にも、これは日本でもうひとつの「失われた10年」を生み出した。失われたのは、労働市場の現代化、行政手続きの効率化、イノベーションの促進、女性へのエンパワーメントといった不可欠な改革だ。
もし自民党政権が、公平な競争の場を整え、競争力を高め、高齢化とリスク回避で特徴づけられる経済を打ち壊してさえいれば、日本はいまごろもっと力強く成長していたかもしれない。現実はといえば、日本は新たなリセッションの瀬戸際にあり、アジアでの生産性競争にも敗れかけている。
それだけでなく、円の動向によって世界の市場や経済外交を揺さぶるおそれもある。2024年も後半に入るなか、ひとつはっきりしているのは、シートベルトをしっかり締めるときが来たということだ。
(forbes.com 原文)