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2024.07.04 15:15

Apple vs OpenAI: AI市場競争における複雑なパートナーシップ

この変化により、スマホを常にいじる習慣が改善されるなど、私たちはより健康的にスマホと付き合えるようになるかもしれません。一方で、AIとの深い統合はプライバシーに関する重大な懸念をもたらします。Apple Intelligenceの構想の一環として、AppleはOpenAIと提携しましたが、これにより各種アプリのデータがOpenAIに開放されるようになるからです。GoogleがApple端末のデフォルトの検索エンジンとなるために年間200億ドルも支払っているのに対し、OpenAIは金銭的なやり取りなしでAppleと提携しているわけですが、このAI競争に追いつくためにAppleがどれほど必死であるかが伺えます。

また、この提携が長期的にどう展開するかについても、複雑な要素が絡んでいます。というのも、OpenAIのSam Altmanが「全ての人にAIのパーソナルアシスタントを届ける」ことを目指している一方で、Appleは自社デバイスの厳密な管理によりエンドユーザーを囲い込む戦略をとっているからです。Appleの歴史を見ても、プロダクトやサービスを最終的に垂直統合する傾向があることから、今回の提携の将来性については疑問を抱かざるを得ません。Sam AltmanがAppleの元スターデザイナーJony Iveと交渉中で、新たな競合デバイスを開発しようとしているのではないかとの噂もあります。Tim(Apple)とSam(OpenAI)は、片手で握手をしながら、もう一方の手ではナイフを握っているような関係性なのかもしれません。

テクノロジーが急速に進化する中、スタートアップは計画や投資、開発、実行の各段階でますます多くの課題に直面しています。プロダクトの売り方も変化していて、「検索エンジンやソーシャルメディア」から「チャットボットやレコメンドエンジン」へとスタンダードが変わるなど、状況をさらに複雑にしています。投資家としても、この市場環境が落ち着くまでつい様子見したくなります。しかし、Sam Altmanのアドバイスを参考にするなら、大事なのはこの基盤モデルの飛躍的な向上が「脅威」になるか「チャンス」になるかを考えることです。つまり、自分たちのビジネスにとってプラスになるか、マイナスになるか。そこを見極めるのが鍵となるでしょう。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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