欧州

2024.06.25 09:30

ウクライナ軍のT-64戦車はまだまだ尽きない 新編旅団にも配備、長期戦に光明

マリシェウ工場は戦争が拡大した直後にロシア軍の攻撃を受け、深刻な損害を被った。だがウクライナの産業界は戦時下で適応し、攻撃にさらされにくい都市に既存の設備を分散させたり、小規模な施設を新たに設けたりした。並行して、ウクライナ政府はポーランドとチェコの工場でT-64を修理・改良する取り決めを結んだ。

ウクライナ軍がこれまでにT-64を戦闘で430両ほど失いながら、引き続きこの戦車を既存の旅団に配備しているばかりか、新たな旅団にも配備できているのは、ウクライナの戦車産業の拡大と一部の外部委託から説明できるだろう。

注目に値するのは、修理・改修のためウクライナからチェコに送られたT-64がまだ1両もないことだ。これは、T-64のオーバーホール需要が現状、ウクライナとポーランドの産業界で賄えていることを示唆する。言い換えれば、ウクライナはT-64の修理や改良で余剰のインフラすらある可能性があるということだ。

もっとも「新たな」T-64とはいっても、元の古い車体に現代的な光学機器や射撃統制システムを搭載したものなので、ウクライナのT-64も有限な資源ということになる。いずれ在庫は尽きるだろう。

しかし、それはすぐではないだろう。ウクライナ軍のT-64の損失ペースは年に180両ほどとなっている。ソ連軍がウクライナに残したT-64のうち数百両を修理・改良できれば、さらに数年は激しい戦闘に使い続けることができそうだ。

一方、前線で失った戦車の補充を古い戦車の再生に頼っているロシア軍も、さらに数年、大規模な戦闘を続けるのに十分な数の戦車を確保できる可能性がある。

ロシア軍もウクライナ軍も、補充用の戦車は国内に備蓄していた古い戦車だけではない。ロシアは年に500〜600両のペースで戦車を新造している。ウクライナは支援諸国からこれまでに700両ほどの戦車を受け取り、今後数カ月でさらに300両取得できる見込みだ。より長期的には、ドイツ企業との間でドイツ設計の戦車のウクライナ国内での生産に向けた交渉も進めている。

ともあれ、ウクライナ軍の旅団ではしばらくの間、冷戦時代の遺物である数百両のT-64が、引き続き重火力の主力を担うことになるだろう。

forbes.com 原文

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