背もたれのあるイスがあれば本体の重さを逃がせる
600g以上あるApple Vision Proは重くないのか? 本機に興味を持つ多くの方が気になっているポイントのひとつだと思う。6月28日以降は、事前に予約を済ませれば全国のApple Storeで無料体験ができる。Apple Vision Proに同梱される「ソロニットバンド」と「デュアルループバンド」のどちらを使うかによって重さの体感が変わる。できれば両方試してみると良いだろう。おそらくApple Storeでは試せない筆者の体験をひとつ補足しておこう。
筆者が仕事場で使っている、大きな背もたれとリクライニング機能のあるゲーミングチェアなどであれば、Apple Vision Proを装着した状態で後頭部の方にデバイスの重さを逃がせる。1時間以上に渡るビデオ会議や、長尺のドラマや映画を見てもデバイスの重さに疲れる感覚はなかった。時々立ち上がって歩く際に気をつければ、専用バッテリーパックはデスクの上に置きっぱなしにできるので負担にはならないだろう。
WinユーザーもApple Vision Proユーザーになれるのか
Mac仮想ディスプレイやAirDropによるファイル転送などに対応するApple Vision Proは、アップルのエコシステムとシームレスに連係するデバイスだ。しかし、メインのPCにはWindowsを使っており、Macは持っていないという方もApple Vision Proをスタンドアロンな空間コンピュータとして楽しめる。Bluetoothキーボードやマウス、トラックパットなどの周辺機器の接続にも対応している。ひとつ注意すべきことは、商品を注文する段階でアップルの「Face ID」を使った顔のスキャンを行い、正確にフィットする最適なライトシーリング(遮光パーツ)とヘッドバンドのサイズを見つける手順を踏まなければならない。Face IDを搭載するiPhoneまたは、iPadが必要になる。
自宅で腰を据えながらApple Vision Proを使用してみて、筆者はこの高度なテクノロジーと洗練された空間ユーザーインターフェースによる体験を実現したデバイスに、およそ60万円の値が付く理由があることに腹落ちした。だからと言ってポケットマネーだけで、ためらうことなく手に入れられる価格でもない。
アップルに、これから全力で空間コンピュータの価値を広く伝える意思があるならば、中長期間のデバイス・サブスクリプションサービスをつくるべきだと筆者は思う。空間コンピューターの魅力を実感として知っているファンをできる限り増やすことは、Apple Vision Proが成功する近道になると確信しているからだ。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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