筆者は自宅のワークデスクが狭いので、いわゆるセカンドディスプレイを導入していなかった。Apple Vision Proでマルチディスプレイ環境の有用性を初めて実感した。また背筋を伸ばした状態で、視線と平行になる位置にMac仮想ディスプレイの「高さ」が調整できる。ストレートネックによる身体への負担も解消されそうだ。

中央がMacBookの画面。左右にvisionOSの地図とApple Musicアプリを立ち上げてマルチディスプレイ環境をつくった。MacBookのキーボードやトラックパッドによる操作が遅延なくApple Vision Proの画面にも反映される
近視、老眼になる前の視界が蘇る
Apple Vision Proは裸眼で装着して使うデバイスだ。筆者のように視力の弱いユーザーも、アップルとカールツァイスが共同開発した光学インサート(補正レンズ)のオプションを装着すれば裸眼のまま快適に使える。コンタクトレンズは単焦点ソフトレンズとの併用は可とされているが、ハードタイプのコンタクトレンズや美容目的のカラーコンタクトレンズは非対応になる。
筆者はアラフィフを迎えてすでに目のピント調節の能力が低下している。普段は小さな文字が書かれている書籍や書類は、目元から適当な距離を離さないと見づらくてたまらない。Apple Vision Proのデジタル空間の中では、近くから遠くまで視界全域にほぼピントが合う。近くの文字がストレスなく読める心地よさを久しぶりに味わった。

PDFの細かい文字が裸眼で見える。まるで視力が回復したような感覚に歓喜した
Apple Vision Proのメインカメラによる高精細なパススルー表示と、内蔵する高性能なTrueDepthカメラ、LiDARスキャナを活かして、人間の視覚能力だけでは検知できない情報をセンシングしてユーザーに伝える様々な使い方がvisionOS上に実現できそうだ。医療にスポーツ、遠隔コミュニケーションなど、人間が持つ感覚を超えて支援するアプリやサービスが多くのデベロッパによって生み出されることを期待したい。