株価パフォーマンス
シスコの株式はこの数年間でほとんど変化しておらず、2021年1月初旬につけた45ドル台から現在の47ドル前後の水準までわずかに動いている程度だ。全体として、市場平均に対するCSCOのパフォーマンスは冴えない。2021年のリターンは42%、2022年はマイナス25%、2023年は6%だった。経常収益モデルの推進
シスコの製品に対する需要が安定してきていることを示す兆しもある。同社が発表した第4四半期のガイダンスは市場予想を上回り、通期の売上高は、以前示していた515~525億ドル(約8兆2300~約8兆3000億円)の見通しから上方修正し、536~538億ドル(約8兆5600~約8兆6000億円)とした。シスコはここ数四半期、運賃や部品コストの低下、良好な製品ミックス、全体的なコスト改善に牽引され、売上総利益率が改善している。2024年度第3四半期の売上総利益率は前年同期比1.7ポイント増の65%に上昇した。シスコのサイバーセキュリティ分野への積極的な取り組みも、同社の成長を後押しする可能性がある。同社は3月、人工知能(AI)を使ってログファイルやその他のデータを分析し、サイバーセキュリティに関するリスクを最小限に抑えるソフトウェアを開発する、Splunk(スプランク)の買収契約を締結した。シスコはまた、収益面でのシナジーを促進するためにスプランクの製品をクロスセルする予定であり、スプランクの顧客になる可能性のあるシスコの既存顧客がおよそ5000社になることを示している。この動きに代表されるように、シスコは、ソフトウェアのサブスクリプションとサービス契約による経常収益モデルを今後も推進していく。前四半期では、スプランクの買収による効果である42億ドル(約6714億円)を含め、年間経常収益(ARR)は292億ドル(約4兆6000億円)となっている。
バリュエーション
CSCOは現在の水準ではやや過小評価されていると私たちは考える。株価は2024年度の市場予想利益の約13倍で取引されている。今年の成長は鈍化する可能性が高いとはいえ、これは妥当なバリュエーションだと言えるだろう。シスコが経常収益モデルを推し進め、買収を通じてサイバーセキュリティへの注力を強めていることは、今後の株価にとって良い材料だ。また、シスコのバリュエーションは低く、同社製品を含む企業によるネットワーク投資への需要はいくらか恒常的であることから、景気後退の局面でも他の大手ハイテク企業と比べ株価へのダメージは少なくなるだろう。そうした点を踏まえ、私たちは、CSCOの目標株価を現在の市場価格より約20%高い約55ドルとしている。
(forbes.com原文)