「私は『PINK』(“N.E.O.”が収録されているアルバム)がめっちゃ好きなんやけど、『PINK』と同じくらい『CHAI』が好きだったの。何かを狙うとかではなく、ただただ自分が思う『CHAIポップ』がつくれたんだよね。『これだったんだ』って、そこでやりきったと思えた」(マナ)
一方、カナの心は“ロック”から離れていた。「コロナの時から体のことを考えるようになって、自分の内側を見ていくと、セルフラブできていないなって気づいたんだよね。そうすると、アンビエントの音楽が好きになっていった。ずっと音と自分と戦ってボロボロだったんだよ。戦いが終わると、次は音に許されるために音楽をやって、音に癒やされていくんだという気持ちがスッと入ってきた。地球の問題にも興味があるから、今は自然と一体化できるような音をやりたいというモードかな。目標は鳥が肩に乗ってくる環境で演奏すること」(カナ)
これからは、認めてほしいという思いから戦って勝ち取る「セルフラブ」ではなく、自分の心身を労ることも含めた「セルフラブ」を実践し、その幸福感を世に伝えていく。バンド結成当初から時代が必要とするメッセージをいち早くキャッチしてきたマナとカナは、世の中全体のムード変化も感じているという。
「これからは自分のことを自分で理解できるようになって、セルフラブができてる/できてないという感覚すらもない時代になってくると思ったんだよね。みんなのことを認めようという流れができてきたなかで、大事なのはセルフラブだけじゃなくて、もっと他人に目を向けることなんじゃないかなと思った。自分が年を重ねたこともあるのかもしれないけど、他人を愛すれば自分のこともわかってくる、という感覚になってきたんだよね。だからまず他人を愛そうって今は思う」(カナ)
現在2人は「ツインズ・アーティスト」として表現活動を行っている。5月には「MANAKANA」名義でアンビエントのライブをスタート。「アースデイ東京2024」に参加するなど、環境問題にも積極的に取り組んでいる。
怒りから、癒やしへ。他者を愛し、自分を知る。世界で共感を生んだ「自分もあなたも、そのまま生きていていい」という肯定感を伝えていこうとするふたりの根幹は変わらず、その想いにさらに深みをもたせて、音楽に限らないさまざまな表現を通して世に届けてくれるのだろう。
まなかな◎2024年3月に解散したニュー・エキサイト・オンナバンド「CHAI」のマナ(Vo, Key)とカナ(Vo, G)による新たなユニット。5月に初パフォーマンスを行った。マナは「おもちいず」という名のキャラクタープロジェクトを始動させ、カナはヨガインストラクターとしても活動中。
左・右とも/シャツ47300円、Tシャツ49500円、ソックス4400円、スニーカー36300円(すべてダブレット/エンケル tel:03-6812-9897)