アート

2024.06.22 13:00

レフィーク・アナドールが「没入型デジタルアート」で目指すAIの未来

Installation view of the exhibition "Refik Anadol: Unsupervised" |Photograph by Denis Doorly.(MOMA)

過去およそ12年間、流体力学のコンセプトに夢中になってきたというアナドールは、AIによる絵画生成は「人間による介入」だと考えている。そして、彼の創造的なプロセスに欠かせないのは、人間的な要素だという。AIの動きのすべてに、指示を出している。
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「ボタンを1つ押す、というだけのことではありません。すでにあるツールを使うこともできますが、それではアートになりません。私にとってそれは、プロセスの1つです」

また、自らの作品については、こうも語っている。

「問題があることも、限界があることもわかっています。手元にあるテクノロジーを、より良い世界を築くために使うことができますが、私たちはそのテクノロジーに自ら働きかけ、道を示さなければなりません。その協力関係は、対等なものです」
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環境科学者や海洋生物学者、医師、哲学者、コンピュテーショナル・デザインを手掛ける設計者なども関わる「レフィク・アナドール・スタジオ(The Refik Andadol Studio)」でアナドールが進めるAIについての研究はますます、画像のダウンロードではなく、自然から直接入手した情報に頼るようになっている。

サーペンタイン・ギャラリーで披露した『Artificial Realities: Rainforest』の制作にあたっては、(同じアーティストの)妻と3カ月間、アマゾン川流域で暮らす先住民のヤワナワ族と生活をともにした。

「ツールを使用するだけでは、触感覚のある研究にはなりません。私は熱帯雨林に接し、ジャガーの声を聞き、ヘビと暮らし、鳥やあらゆる種類の昆虫、動物たちと生活し、自然のなかにいるということの意味を知ることができました。私たちが双方の物語を読み取り、理解すること。それが、私がAIの未来に希望することです」

アナドールは、AIを通じて自らが自然界に深く入り込むことが、私たちのアイデンティティの壁を破る「世界共通語」の発見につながると考えている。その探求するものは、この機械知能の時代に、人間であることの意味だ。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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