日本でも拡大するメタバース経済圏
日本の大企業も参入し、大丸松坂屋百貨店は昨年10月にこのVRChat上で使えるオリジナルアバターと、バーチャルファッションアイテム専用の販売店をBOOTHのなかに開き、この新しい市場の開拓に名乗りを上げている。また、カシオもG-SHOCKのデジタルアイテムの販売店をVRChat内に出店。そのままアバターに装着できるものとして販売し始めた。現実とバーチャルの垣根がなくなってきている。また、メタバース空間内でよりリアルに動いたり感じたりするためのアイテムやガジェットを手がける会社も生まれた。私が注目しているのはShiftallという日本のベンチャー企業だ。21年から本格的にVRメタバース事業を展開、超高解像度・超軽量のVRヘッドセットや安価で省スペースなワイヤレス・モーション・トラッキング装置などを販売している。代表の岩佐琢磨氏は「今はニッチな領域だ」と謙遜していたが、今後メタバース空間で過ごす人の数や可処分時間がますます増してきたときに、ファッショだけでなく「動作や五感」においてもユーザーからの要求が高まるのは自然の理だ。大きなゲームチェンジの要となる可能性はある。
今回はVRChatを中心に話したが、「cluster」など日本の有望な新しいメタバースプラットフォームサービスも伸びてきている。この点と点が線になり束になっている動きを見る限り、うねりとして大きく進んでいることは間違いないだろう。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。