エコシステム

2024.06.07 16:15

瀬戸内発・酒造再生スタートアップの挑戦 ウィスキーのような日本酒の新境地 

藤田:「楽しい」は同じ船の仲間が増えることで、「辛い」はあんまり力になれてないと思うことです。

僕は基本的に起業家という人たちが好きだからこういうことをやっています。「起業家と一緒に長い時間を過ごす」「うまい酒を飲む」と表現していますが、それをするために起業家と同じ船に乗ることが有効だと思っています。

そして、僕らも起業家のミッション・ビジョンに共感するけど、起業家も僕たちのミッション・ビジョンに共感してくれている部分もあると思っています。僕らと同じ船にも乗ってもらっているみたいな感覚です。

投資していただいてる方々と投資している起業家も含めて、同じ方向を向いて一緒に歩んでいけることが、1番の醍醐味なのかなと思います。

三宅:聞いていて嬉しくなりますね。



藤田
:辛いことは、ベンチャーキャピタルが本業ではないし、業界出身でもないので、色々な業界やビジネスの解像度が荒かったり、人脈も弱かったりしている点。ベンチャーキャピタルが提供した方がいい機能や求められてる機能があまり果たせてないことが多くて、見守るぐらいしかできないんですよね。

本当に目の前で困っている、相談がある起業家に対して適切なアドバイスやアクションが取れないことにやるせなさを感じます。

山田:楽しいところは一緒です。

僕らがこのベンチャーキャピタルという道を選ばなかったら出会わなかったと思う方がたくさんいるので、それを選べたことが楽しい点だなと思っています。

辛いところは、一般の人とは基準がずれてしまうことやコミュニケーションのギャップがあること。周囲には当たり前のようにチャレンジしている方ばかりがいます。チャレンジしている人間の方が少ない中で、コミュニケーションのギャップがすごくあるなと感じるし、それがあるがゆえに恨み/恨まれが生じることが辛いところですかね。

三宅:僕は4年前に「浄酎」をつくって、今少し景色が変わったような気がしていますが、お二人はこんな景色を想像していなかったと思うことはありますか?

山田:まさに「セトフラ」の番組もそうだと思います。

だからこそ、自分たちもスタートアップやベンチャーの方々と同じ温度感で喋れるなと感じています。結構チャレンジングだと思ったこともやっていますし。

三宅:「吐きたくなるぐらいチャレンジングなことも実はやっている」とのことでしたが、なぜ続けられるんでしょうか。

藤田:船が空を飛ぶ可能性があることを知ってしまっているからですね。やっぱりその先にあるものすごい景色を想像できてしまっているような。

山田:もう一つは、僕らが人生を振り返った時に、吐くと思っている時のことは覚えてるけれど、それ以外のことは覚えてないと思うんです。吐くと思っている時の方が後から振り返った時に面白いなと思うし、ある種思い出になっている感じがします。

三宅:やったことがないことをやった時のことは、すごく覚えていますよね。

やったことがないことをやってみたいですし「こんな社会やこんな生き方があるよね」とか「こんな酒のあり方があるよね」というところを実現させたいと、改めて意思が強くなりました。


原料となる日本酒、熟成させる樽を変えることで何千通りもの「浄酎」が生まれる。今までにないお酒を広める難しさはあれど、可能性の大きさも計り知れない。産業としてだけではなく、地域の歴史や文化と根深くつながる日本酒産業。日本全国の酒蔵が減少していく中で、新たなジャンルとして「浄酎」が確立すれば、酒蔵だけではなく地域を支える新たな一手になるだろう。

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文=西澤七海 編集=督あかり 写真=8bitNews

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