瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。
今回は、瀬戸内エリアでフリースクールを運営するNPO法人無花果(岡山市)の理事長であり、通信制高等学園の運営やフリースクールのコンサルティングなどを手がける無花果inc.の代表取締役でもある中藤寛人さんをゲストに迎えた回をご紹介。
なぜ儲けることが難しく、どんな壁を乗り越えてきたのか──教育というビジネス展開が難しい領域のリアルと、次なるステップをお届けします。
本当に自走できるのか 怖さの中で進むしかない日々
藤田:本日のゲストは、NPO法人無花果 理事長、無花果inc. CEOである中藤寛人さんです。山田:Forbes JAPANの世界を救う100通りの希望「NEXT100」特集のうちの1人に選ばれていますね。
中藤:普段はフリースクール「無花果もえぎ」と通信制高等学園の「無花果高等学園」として、小学生から高校生までが一緒の空間で学び合う場所を運営しています。
他にも、教員になりたい学生がフリースクールで学校の先生をしながら教員資格を取れる「無花果COLEGGE」を進めていたり、フリースクール立ち上げやコンサルティングを行う「無花果こはく」、総合型選抜入試を利用して子どもたちそれぞれが生きたいように生きていけるようにサポートする「無花果AO」を運営したりしています。
生徒と先生の信頼関係も築かれ、来年再来年も本当に継続していけると今やっと感じられています。
藤田:これまでは、来年にはどうなるかわからないぐらいの危機感を持ちながらやっていたのでしょうか。
中藤:活動をする中で、大体1年間でこのぐらいの金額がかかると言うのは見えていました。そこから、ここさえ乗り切れば自走していけるという数字が見えていたので、その金額分を資金調達してきましたが、株主にそう伝えながらも口座残高がずっと下がっていく怖さはありましたね。
それに加えて、生徒が増えるのが4月。3月ぐらいまで売上が来年度どれだけ増えるかほとんどわからないことも恐怖でした。
山田:フリースクールや教育の観点では、みんなお金の話をあまりしないですよね。
中藤:本当に語るのが悪だとされている感じはあります。
学校に説明をしに行くと、株式会社がやってるというだけで敬遠されてしまうぐらいの温度感があったりします。やっぱり教育は公的な部分が担っていくという意味が強く、フリースクールが営利目的じゃないかを気にされる方が多いです。とはいえ、今後も潰れずにやっていけるという説明も大事なので、その塩梅が難しいと感じますね。