主宰するのは、Zebras and Company(ゼブラ アンド カンパニー、以下Z&C)。社会課題解決と持続的な経営に挑む、ゼブラ企業を増やす会社である。同社の共同代表である阿座上陽平に、フェスを開催する狙いや内容について聞いた。
「ZEBRAHOOD 2024」は、下北沢の街を舞台とし、ゼブラ企業(スタートアップから地域を担う老舗企業、大手上場企業まで)、行政、自治体、アカデミア、シェフ、アーティスト、クリエイター、国外プレイヤー、Z世代など、多様なジャンルの人々が集い、融合する新しい感覚のフェスだ。
全体テーマ「スクランブル」のもと、トークセッション(知る/考える)、ワークショップ(練習する)、マルシェ&ショーケース(体験/体感する)、コワーキング&コミュニケーションズスペース(働く/繋がる)の4つのセクションで構成され、100年後の未来を共に考え、紡いでいくための新しい関係性や共通アジェンダの創出を目論んでいる。
「100年後、その時に課題に気づくようではもう遅いんですよね。かといって、100年先の課題解決の道筋をすぐに描けるわけではない。でも、今、問いを立てて課題を炙り出し、それについてみんなで話し合うことで、10年先の未来は変えられる気がしていて。そしてこの活動を次の10年、また次の10年と受け継いでいけば、100年後はきっと良くなるというのが、ZEBRAHOOD 2024の趣旨です」と阿座上は力説する。
通常カンファレンスというと、大きなイベント会場に集い、セッションを聴いて学びを深めていくというものが多い。ところが今回のZEBRAHOOD 2024は、ホールやワークスペースから広場まで、下北沢の駅周辺のさまざまなスペースを活用しており、フェスのように巡って回るような形となっている。
「会場に閉じこもって思考したり話し合ったりしても、良いアウトプットが生まれにくいんじゃないかと思っています。目の前に働く人がいたり、夕方の買い物をするお母さんがいたり、子供も走り回っていたりと、生活と紐づいた場所で『これから先、自分たちの生き方や事業をどうしたらいいんだろう』って考える方が、ユニークな閃きが生まれるのではないかと。頭と体と心をフル回転させて、僕たちのカオスを受けとめてもらいたい(笑)」
阿座上はこうした在り方が「ゼブラっぽい」と話す。Z&Cは「優しく健やかで楽しい社会を作る」をビジョンに掲げ、「時間をあえてかけて信頼を作る」「仲間と一緒に作る」「お金以外の価値を積み重ねて作る」をバリューとしている。確かに登壇者やワークショップの内容、マルシェやアーティストのセレクトなどを見ると、社会的インパクトと向き合う仲間が集っており、あたたかかつしなやかな空気感を醸し出している。