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2024.06.05 14:15

「講談社ブルーバックス」、第一次AIブームの1963年『人工頭脳時代』で産声

「生成AIの使い方」と重なる、「電子計算機の使い方」

後半は本書の根幹たる部分であり、第二次世界大戦も経験した筆者が、電子計算機への誤解、計算機が支配する世界について思いを馳せながら、本当に訴えたい「電子計算機の使い方」について叙述している。この部分はまさに「生成AIの使い方」に置き換えて読みたい。

電子計算機は「人間の幸せのために」「使うもの」であり、特に筆者のベル研究所における会話から思考を得た「自然科学の急速な進歩と社会科学の鈍たる進歩のギャップにより、沢山の不幸が生産される」ことは、まさに生成AIの急激な発展と、追従することが精一杯の現代社会への再度の警鐘であろう。

本書にも、情報・通信といった言葉は出てくるが、インターネットの登場、そして、OpenAIによる言語モデルのスケーリング則などは当然、考慮されていない。2012年に鬼籍に入った著者が、今、本書を書き直したら、どのような記述をするのだろうか。興味は尽きない。

『人工頭脳時代 頭脳労働の革命が始まっている』(菊池 誠著、1963年、講談社ブルーバックス)※現在は絶版だが古本で入手可能な可能性がある https://www.amazon.co.jp/dp/B000JAI0SU/ ほか、「国立国会図書館デジタルコレクション」で閲覧可能である(利用登録が必要)。

『人工頭脳時代 頭脳労働の革命が始まっている』(菊池 誠著、1963年、講談社ブルーバックス)※現在は絶版だが古本で入手可能な可能性がある ほか、「国立国会図書館デジタルコレクション」で閲覧可能である(利用登録が必要)。



曽根康司(そね・こうじ)◎ キャリアインデックス執行役員。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程EMBAプログラム修了(MBA)。時計商を経て、黎明期のインターネット業界に飛び込む。アマゾンジャパン4号社員、Yahoo! JAPAN、キャリアインデックス、EXIDEAを経て、2023年11月に再ジョイン。「焼肉探究集団ヤキニクエスト」メンバーでもあり、全国数百件の焼肉店を食べ歩いている。

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