モビリティ

2024.05.30 18:15

タワマン内の配達はドローンに変わるか

プレスリリースより

タワーマンションの中に専用の吹き抜け空間をつくり、その中でドローンを飛ばして高層階へ荷物を運ぶシステムを、東京大学などによる研究グループが考案し、数値シミュレーションでその有効性を確認した。

タワーマンションの高層階に荷物を届ける宅配業者は、入り口に宅配ボックスがない場合、届け先のインターホンを押して玄関ホールのドアを開けてもらい、さらにセキュリティーの厳しいところならエレベーターのロックを解除してもらうなど、なかなか面倒なことが多い。手間も時間もかかる。そこで、東京大学先端科学技術研究センターと三井不動産による研究チームは、マンションの中にドローン専用の垂直空間を作って荷物を運ぶ、エレベーターに代わる配送システムを考案し、特許を出願した。

このシステムの有効性を確かめるために、研究チームは、仮想のタワーマンションを舞台に、市販されている実際のドローンを使った場合の荷物の脱着、上下飛行、バッテリーの交換という配送プロセス、宅配便やデリバリーなどの注文が突発的に発生する確率の数値モデルなどを使ってシミュレーションを行い、エレベーターを使用した場合と比較した。

これにより、一定の需要レベルまでは、エレベーターよりもドローンのほうが、早く、消費電力も少なくて済むという確証が得られた。大量輸送が可能なエレベーターと、個別の即時対応が得意なドローンという異なる輸送モードをうまく組み合わせるシステムは、他の物流分野にも重要な示唆を与えると研究チームは話している。

配送の待ち時間と消費電力をそれぞれドローンとエレベーターとで比較したグラフ。横軸は1世帯が1時間にリクエストする数。青いほどドローンが有利であることを示す。リクエストが一定数を超えるとエレベーターのほうが有利になる。

配送の待ち時間と消費電力をそれぞれドローンとエレベーターとで比較したグラフ。横軸は1世帯が1時間にリクエストする数。青いほどドローンが有利であることを示す。リクエストが一定数を超えるとエレベーターのほうが有利になる。


このアイデアは、2022年にドローンの有人地帯における目視外飛行(レベル4)が解禁されたことを受けて、人口過密地域でもドローン配送をもっと活用しようという取り組みから生まれたもの。ドローンには、大空を飛び回るだけでなく、こうした目に見えないところにも、物流の常識を変える活躍の場があるということだ。


プレスリリース

文 = 金井哲夫

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