宇宙

2024.05.23 18:00

木星の大赤斑を横切る太陽系で「最も赤い」天体、NASA探査機が撮影

NASAのジュノー探査機が2024年3月7日の59回目のフライバイ時に撮影した木星。表面にある大赤斑の上を横切っているミニ衛星のアマルテアが写っている(Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing by Gerald Eichstädt)

巨大ガス惑星とその多数の衛星を調査する任務を担ったジュノーは2016年、木星に到達した。正式に認定された木星の衛星は、アマルテアを含めて95個ある。木星の氷衛星エウロパは、生命の痕跡探しに適した場所と考えられている。NASAの次期探査ミッションのエウロパ・クリッパーは、氷衛星へのフライバイを実施し、詳細な調査を行う予定だ。エウロパは、木星の4大衛星の1つ。残りの3つは、イオ、ガニメデ、カリストだ。4つの衛星は、観測条件が良ければ、地上から双眼鏡で見ることができる。だが、アマルテアは探査機からでも見つけるのが難しい。
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NASAのガリレオ探査機が1999年に撮影したアマルテア。大きな衝突クレーターが見える(NASA/JPL/Cornell University)

NASAのガリレオ探査機が1999年に撮影したアマルテア。大きな衝突クレーターが見える(NASA/JPL/Cornell University)

アマルテアは1892年、米天文学者のエドワード・エマーソン・バーナードが発見した。NASAの探査機ガリレオは1996年から数回にわたり、アマルテアの画像を撮影した。ガリレオの調査で、衛星の表面に衝突クレーターや谷のような地形があるのが判明した。

小型で赤色のアマルテアにとって、未来はそれほどバラ色ではない。「アマルテアは母惑星に非常に近いため、ゆくゆくは軌道が減衰し、惑星に落下する」と、NASAは解説サイトに記している。ジュノーもまた、いつまでも持ちこたえられるわけではない。太陽電池を動力源とするジュノーは現在、ミッションの延長段階にあり、2025年9月かもしくは寿命に達するまで、運用が継続される見込みだ。ジュノーは、アマルテアと同じ運命を辿ることになる。最終的には、木星の大気中で燃え尽きるのだ。その時が来るまでは、魅力的な惑星とその衛星を間近で探査し、宇宙ファンや科学者をあっと言わせ続けるに違いない。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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