今年初め、アイリスは月着陸ミッションのペレグリン・ミッション1(Peregrine Mission One)において月を探査する目的で打ち上げられた。最終的にミッションは失敗に終わったが、それでもいくつかの成果はあった。
1972年以来初めて月面に着陸するはずだった米国製の月面ローバーから、我々は何を学ぶことができたのだろうか? アイリスの開発と打ち上げを手伝ったカーネギー・メロン大学の3人の学生は、多くのことが学べたと主張する。
「我々が成し遂げた最大の技術的成果は、打ち上げとトランジット中、特にヴァン・アレン帯を通過する際に、主要システムが極端な温度と高放射線に耐えたことだ」と、このプロジェクトに携わった同大の卒業生であるケヴィン・ファングはポッドキャスト番組『TechFirst』で述べている。
「我々は、すべてのシステムが稼働していることを確認した。ナノローバーとしては、これはかなりの快挙だと言える」と彼は言う。ナノという言葉の通り、アイリスはかなり小型だ。
カーネギー・メロン大学の学生300人のチームが開発したアイリスは、靴箱ほどの大きさで、重さは2.2キログラムだ。月面に到達していたら、大学で開発された最初の月面ローバーであると同時に、史上初のカーボンファイバー製のシャーシを備えた、アポロ時代以来で初めての米国製ロボット・ローバーとなるはずだった。
「我々の使命は、コストを極限まで下げることだった。カーボンファイバーを用いた理由の1つは、あらゆる条件に耐えられる素材だからだ。また、重量を減らすことができるため、打ち上げコストを削減することができる」と、プロジェクトチームのメンバーであるハルシュバルダン・チュナワラは話す。