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2024.05.23 10:30

「大人用おしり拭き」で売上170億円、米新興Dudeの創業ストーリー

さらにニールセン・アナリティクスのデータによると、2020年以降に、おしり拭きの市場規模は35%拡大したのに対し、乾式トイレットペーパーの同期間の成長率は5%だった。その理由のひとつは、乾式トイレットペーパーの市場規模が非常に大きいためで、2020年の市場規模が99億ドル(約1兆5000億円)だったのに対し、おしり拭きの市場規模は5億3000万ドル(825億円)だった。デュードは、このカテゴリの40%以上を占めていた。

そこで創業者たちはあるアイデアを思いついた。それは、以前の戦略のようにデュードの製品を、単純にトイレットペーパーの横に並べるのではなく、直接競合するプロダクトとして、トイレットペーパーの需要を奪うというものだ。その結果、彼らはマーケティング予算を昨年の1500万ドル(約23億円)から倍増させて、少なくとも5000の新たな小売店舗を視野に入れ、より大きいサイズのパックでおしり拭きを売ろうとしている。彼らは、デュードの売上高が年末までに1億6000万ドル(約249億円)、2029年までに5億ドル(約779億円)を突破すると予測している。「私たちは、トイレットペーパーを破壊する道を進んでいます」とライリーは述べている。

人々の「習慣を変える」ミッション

その目標を実現するために彼らはP&Gで40年以上マーケティング・ディレクターを務めたピート・カーターをコンサルタントに起用した。デュードのプロモーション戦略はこれまで、SNSと口コミによるものだったが、カータは今、テレビCMやラジオスポットなどの全米規模の広告に多額の投資を行っている。彼は、トイレットペーパーの利用者の「かなりの部分」を獲得するというデュードの目標が、達成可能だと考えており、同社が立ち向かうとしている課題を、P&Gの米国法人が展開するフローリングワイパーのスウィッファー(訳注:日本で言うクイックルワイパーのような製品)が直面した挑戦になぞらえている。


「人類は、100年前からあるほうきやモップを置き換える製品を送り出しました。そして今、私たちが見ている状況は、人々はまだ家にほうきを置いているけれども、より頻繁にスウィッファーを使っているということです」とカーターは言う。「その製品が、より快適な暮らしを提供するものであれば、人々は既存の習慣を変えるでしょう」

もちろん、キンバリー・アンド・クラークをはじめとする業界の巨大企業が、数十億ドル規模のマーケティング・キャンペーンを展開して、デュードの躍進を阻止する可能性もある。今のところ、水に流せるおしりふきは「トイレットペーパー大手の尻に生じたニキビ程度のものに過ぎない」とカーターは説明する。しかし、デュードが勢いを増せば、状況は変わるかもしれない。「だからこそ、彼らは今、可能な限りその名前を広めることが重要なのです」と小売業界のコンサルタントのバート・フリッキンガーも述べている。

「ブランド価値を高めることが、最大の防御になる」と、ライリーは主張する。「業界の巨人に対抗するためには、自社のプロダクトを完璧に差別化して、競合ができないことをすることです。私たちは彼らの資本と人材には決して太刀打ちできないけれど、私たちのスピリットと創造性、そして機敏な動きは彼らに真似ができないのです」とライリーは語った。


forbes.com 原文

編集=上田裕資

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