海外

2024.05.23 10:30

「大人用おしり拭き」で売上170億円、米新興Dudeの創業ストーリー

(C)dudewipes

「このような事業をやっている会社は他にありません」と、自身もデュードのおしり拭きを愛用しているキューバンは言う。「彼らは、プロダクトを取り巻くカルチャーやコミュニティを作り上げ、それを楽しんでいるのです」と彼は述べ、創業者たちとは常にビジネス戦略について話し合っていると語った。
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驚くべきことに、デュード・ワイプスを愛用しているのは男性だけではない。同社によれば、ユーザーの約50%は女性で、従来のトイレットペーパーよりもお尻を清潔に保てるという理由でこの製品を選んでいる。デュードの製品は言わば、少々過激なコンセプトの下に作られたシンプルで安価なプロダクトだ。

「トイレットペーパーだけでは、お尻を十分きれいにできないのです」と語るミーガンは、デュードを立ち上げる以前は、父親の経営する高級ポータブルトイレメーカーで営業とマーケティングを担当していた。彼は、父親が一からビジネスを立ち上げるのを見て、ゼロから何かを始めることのコツを学んだと話すが、自身もトイレ関連の事業を立ち上げたのは皮肉なことだとも述べている。

シカゴのアパートで起業

3人が「水洗トイレに流せる大人用のおしり拭き」の販売というビジネスを思い立ったのは、シカゴのアパートで共同生活を始めたときのことだった。幼なじみの彼らは、大学を卒業後にそれぞれ別の会社に務めていたが、全員シカゴ市内で勤務していた(その当時ライリーは建設技術会社の営業職で、クリムコフスキーは投資銀行に勤務していた)。ある日、ミーガンがトイレに赤ちゃん用のおしり拭きをストックするようになり、3人の間にそれを使う習慣が広まったのだった。

「これはビジネスになるかもしれない」と思ったライリーは、さっそくプロトタイプをスケッチして、他の水洗トイレ用のおしり拭きがどこで製造されているかを調べて製造元を見つけた。そして3人は、合計3万ドル(約460万円)の資金を出し合い、最初のプロダクトを作ると地元の音楽フェスティバルや大学のキャンパスで無料サンプルを配ったのだった。
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2013年にデュードの売上が2万ドル(約310万円)に達したとき、創業者たちは大手小売店に接触し始め、シンシナティでブローカーを雇って商談に挑むことにした。ほとんどの取引先候補が彼らを笑い飛ばしたが、2014年にスーパー大手クローガーのトイレットペーパー担当のケビン・ダーシーと会ったときだけは別だった。この時点で、同社の売上はアマゾンでリピーターを掴んたおかげで22万5000ドル(約3500万円)に急増しており、ダーシーは彼らにチャンスを与えてみることにした。そして2015年にデュードは200万ドル(約3億1000万円)の契約をクローガーと結び、全米2000店舗のトイレットペーパー売り場におしりふきを並べることになった。

テレビ出演で売上が10倍に

同じ年、彼らは3回目のチャレンジで、『シャーク・タンク』のオーディションに合格した。番組の効果はてきめんで、2016年の売上は前年の10倍の300万ドル(約4億6000万円)に達した。勢いに乗った彼らは2018年にウォルマートの1500店舗でトライアル販売のチャンスをつかみ、その結果、全米のウォルマートのトイレットペーパー売り場に進出したのだった。

2020年から始まった新型コロナウイルスのパンデミックも、デュードに追い風を与えた。全米のトイレットペーパー売り場が空っぽになり、必死の思いで代替品を探す買い物客が、同社が販売するようなおしり拭き製品を発見したのだ。デュードのデータによると、その頃初めてウェット式の製品を購入した顧客のリピート率は75%に達していたという。
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編集=上田裕資

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