OpenAI(オープンAI)のCEOのサム・アルトマンと、人材ソフトウェア企業Lattice(ラティス)の元CEOのジャック・アルトマンという2人の兄を持つマックス・アルトマンは、兄たちとともにHydrazine Capital(ハイドラジン・キャピタル)やApollo Projects(アポロプロジェクツ)、Altman Capital(アルトマン・キャピタル)などのファンドの運営に10年近く関わってきた。
しかし、マックスはその後、兄弟から距離を置くためにサンフランシスコを離れてオースティンに向かい、新たな会社を立ち上げようとしていた。
物流業界のユニコーン、Flexport(フレックスポート)の元幹部のブラバーマンと、2社目のスタートアップを売却したばかりの連続起業家のグエンは当時、フレックスポートとYコンビネータのネットワークを通じて少額の投資を行っていた。そこにアルトマンを引き入れて、彼らはより大きな投資を行うことにした。
そして生まれたのが、アルトマン、ブラバーマン、グエンの3人が率いる投資会社のSaga Ventures(サーガ・ベンチャーズ)だ。同社は、アーリーステージのソフトウェア・スタートアップへの投資に特化した1億2500万ドル(約195億円)のファンドで、合計30社に1社あたり約200万ドル(約3億円)から250万ドル(約4億円)を投資し、アーリーステージのラウンドをリードまたは共同リードする計画だ。
サーガ・ベンチャーズの投資戦略は、革新的なスタートアップよりも、信頼度が高い既存のビジネスモデルや市場に焦点を当てるものだ。彼らは、ワークソフトウェアやフィンテックなどのカテゴリのSaaSスタートアップへの投資を計画しており、製造業スタートアップのHadrian(ハドリアン)や金融ソフトウェアメーカーのRamp(ランプ)、宇宙ベースの医薬品開発会社であるVarda Space Industries(バルダ・スペース・インダストリーズ)などへの、過去の経験を活かした投資戦略を立てている。
彼らは、当然のことながら人工知能(AI)分野への投資にも関心を持っている。しかし、サーガの投資アプローチで重視するのは、テックセクターの外に居る人々にAIを使わせることだという。
「AIへの投資で我々が重視するのは、ただ高度な技術を開発するだけでなく、全ての米国人にインパクトを与えるような実用的なツールを作ることです。ヒューストンやミネアポリスの人々が、使えるようなツールを作らなければなりません」とアルトマンはフォーブスに語った。