『ポール・マッカートニー写真展1963-64~ Eyes of the Storm~』 が催される場所として、ビッグアップルはまさにふさわしい都市といえるだろう。1964年2月、ビートルズが『エド・サリヴァン・ショー』に出演、ポップカルチャーを永遠に変えたのは、ニューヨークだった。熱狂的なファン、「ビートルマニア」が誕生したのも、この街だ。
この写真展で披露されているのは、モノクロとカラー合わせて250枚以上。すでに英国で人気を確立していたビートルズが初めて米国を訪れ、金切り声をあげるファンや群がるカメラマンたちの熱狂のなかで経験したことを、マッカートニーがペンタックスのカメラに収めたものだ。
それらの写真のなかには、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの自然な姿を捉えたものも含まれており、メディアのスポットライトが当たらない場所で、ふざけ合ったりするメンバーの様子なども収められている。
また、演奏しながら各地を巡るなかで撮影されたスナップ写真には、映画『ハード・デイズ・ナイト』のワンシーンのように、マンハッタン区の6番街(アベニュー・オブ・ザ・アメリカス)を走って追いかけてくるファンの姿、セントラルパークに現れたカメラマンたちの群れ、マイアミ空港でメンバーたちを待ち構える人々を写したものが含まれている。
そのほか、半解けの雪でぬかるんだワシントンD.C.の通りを渡って歩く人たちや、マイアミの警察官が持つ拳銃のクローズアップなど、初めて米国を訪れた「外国人」としての視点で捉えた写真も展示されている。カラー写真のなかには、マイアミビーチでくつろいだり、プールではしゃいだりしているメンバーや関係者の写真もある。
猛烈なペースで各地を巡り、パフォーマンスを披露しメディアにも多く取り上げられたメンバーは、ファンたちをさらに熱狂させ、翌年の8月に再び、ツアーのために訪米した。
ブルックリン美術館の学芸部長で、装飾美術部門のシニアキュレーターでもあるキャサリン・ファッターは声明で、この写真展について次のように述べている。
「ポール・マッカートニーは初めて訪れた1964年2月以来、ニューヨークとの強固な、そして永続的な関係を築いてきました。ビートルズの初の訪米時に撮影された活気にあふれる彼の写真は、この街のエネルギー、米国のファンたちの興奮、人気バンドがもたらす狂乱を写し出しています。【略】私たちはマッカートニーのレンズを通して、そうした類いまれな出来事の真っただ中にいることの熱気を、感じ取ることができます」
写真展はニューヨークでの開催に先駆け、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーでも行われた。ブルックリンでの会期は、8月18日まで。詳細は、www.brooklynmuseum.org. で確認することができる。
(forbes.com 原文)