北米

2024.05.01 17:00

「1968年」と重なる光景 米コロンビア大、学生占拠の講堂に警察が突入

2024年4月30日、パレスチナ連帯デモの学生らが建物を占拠していた米コロンビア大で、警察に拘束されたデモ参加者(Selcuk Acar/Anadolu via Getty Images)

いまの学生は「慎重で賢い」

1968年4月の抗議活動は、ハミルトン・ホールなどを占拠していた学生が警察に排除されたあと、30日に終わった。だが学生側は、モーニングサイド・パークでの体育館建設計画の撤回や、IDAとの協力の中止、学内での兵士募集の一時禁止など、掲げていた要求の多くを実現させた。
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続く1週間は休講になったが、学生たちは「学生スト」を組織し、ほかの学生たちに残りの学期中は教室に足を踏み入れないよう呼びかけた。卒業式では卒業生300人あまりが退席した。カークは8月に退任している。

コロンビア大学の抗議活動を率いたマーク・ラッドは4月30日、ニュースサイト「デイリー・ビースト」のインタビューで、現在のデモに参加している学生たちは自分たちがしていたように警察をののしったりはせず、当時の学生よりも「ずっと慎重」で「賢い」と語っている。ラッドは停学処分を受け、のちに刑務所にも入れられている。

大学側は外部の人物が指図と主張

コロンビア大学の学生らは4月17日、キャンパス内の南の芝生に「ガザ連帯キャンプ」を設営した。大学側に対してイスラエル軍と取引のある企業と手を切ることなどを求めている。大学側は早くも翌18日、キャンプの排除に乗り出し、要請を受けたニューヨーク市警が学生ら100人超を逮捕した。

だが、キャンプはその後数日のうちに復活した。ネマト・シャフィク学長は、ニューヨーク市警をキャンパスに呼び戻すのは「逆効果」だとする一方、4月29日午後2時までにキャンプをやめなければただちに停学処分を下すと学生側に警告した。
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デモ参加者たちは期限が過ぎたあともキャンプ地に残っていた。大学側は29日夜に停学決定を出し始めたと伝えられる。

学生らは29日から30日にかけての夜にハミルトン・ホールに乱入した。ニューヨーク市警が30日夜、2階の窓を叩き割って突入し、学生らを排除した。シャフィクはニューヨーク市警に、ハミルトン・ホールに侵入したデモ参加者らは「大学とは関係のない人物たちに指図されている」と訴えたという。

大学側は、ハミルトン・ホールに立てこもった学生には退学処分を警告していた。これまでに何人が停学や退学になったのかは不明。コロンビア大学の今学期の最終試験は5月10日で、卒業式は5月15日に予定されている。
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forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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