「ティアステイブル(涙液の安定性)を高める」という新技術も
ジョンソン&ジョンソン ビジョンケア カンパニー 代表取締役プレジデント 森村純氏によれば「同社の過去3年間の調査の結果、目の健康寿命は、一般の寿命より20年短いことがわかった」という。また、われわれは「目の健康」にとかく意識が低いというデータもある。
以下は、日本眼科啓発会議が2021年に40~89歳男女を対象に実施したインターネット調査の結果である。
1987年、世界初の使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を米国で発売、さらには「1dayコンタクトレンズ」というカテゴリーを確立し、今年で「カラーコンタクトレンズ世界発売20周年」を迎えたというそのジョンソン&ジョンソンが4月24日に行ったコンタクトレンズの新製品発表会の中で、つきやま眼科クリニック院長 月山純子医師は、臨床現場における昨今の目の健康やコンタクトレンズ使用に関する課題について以下のように述べた。
「スマホの普及により、近くを見る時間が多くなっている。調節力が落ちている世代のみならず、見えにくくなっている。なによりも、若くても長時間デバイスを見ていると瞬きの回数が減り、ドライアイや眼精疲労を訴える人が増えている」
デジタルデトックスをしたくても、なかなか叶わないのがわれわれの現実だ。そんななか、たとえばそのジョンソン&ジョンソンが今回発表した球面および遠近両用の新コンタクトレンズは、HEVフィルターで散乱しやすい短波長光をカットするほか、ティアステイブル(涙液の安定性)を高めるという。
また、コンタクトレンズが機能性のほかに「美しさ」も担保してくれれば、メイク感覚でカラコンを使う中学生のみならず、大人にとってもありがたいことだ。この需要を叶える上で同社は、カラーコンタクトレンズ設計のために何千人もの瞳のデータを取得、社内にパタンナーやカラーリストを抱え、さらに専門の職人が虹彩模様に近づけたデザインを「手描き」で描いているというから驚きである。虹彩模様、大きさや色は人それぞれ、「美しさは世界にたったひとつ」という哲学に基づくものだ。
「目の健康寿命延伸のため」「美しさのため」の両方を叶えるべく、これから同社をはじめとするコンタクトレンズ各社からどんな取り組みが発表されるか楽しみだ。