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2024.05.01 14:15

100万円コース選択で現金持ち込みも 「医療クラファン」が成功率3倍の理由

医療機関によるプロジェクトでは5万円、10万円のコースに参加する人も多く、恵寿総合病院の場合は、40人以上が100万円コースを選択した。他の案件では多くても数人というなか、資産をもつ高齢者や企業が参加するため、一口が大口化しやすいのだろう。

医療機関がCFを活用するのは難しさもある。READYFORに相談を持ちかける病院の多くは、ドクターカーを購入したい、院内にシステムを導入したい、病棟の改修もしたいといったように複数の「やりたいこと」を持っている。ただ、CFは地域社会への活動報告の場でもあるため、「いま何に困っていて、地域の人にどう応援してほしいのかメッセージを明確にする必要がある」(多田)。緊急性や重要性が低いが、この際まとめてやってしまうという考え方だと、支援者としても応援する理由が定まらなくなる。双方のコミュニケーションの齟齬が起きないよう、READYFORがコンサルティングを行っているという。

オンラインだけでなく、対面で資金提供ができる場を作るのも良いと多田はいう。というのも、この医療系CFに参加する支援者には高齢者も多くいる。病院の窓口に、CFの方法を尋ねる人や、直接お金を持ってくるケースもあるという。そこで多くの病院では、CF期間に専用ブースを病院の入り口近くに設けている。ほとんどは現金でも受け付けており、担当者を配置して対応を行う。

「対価性のないリターン」とは

では、CFのリターンはどうなっているのか。READYFORの医療案件のおよそ半分が寄付金が控除されるタイプに区分され、対価性のないリターンが設定される。例えば、活動報告書の公開や、お礼の手紙の送付、支援者リストの院内掲示といった内容だ。対価性はないが、達成率が95%であるという点が、医療テーマとCFの相性の良さを示している。

七尾市の恵寿総合病院では、3月末、支援者からの応援メッセージと病院からの感謝メッセージを一つずつ桜の花びらに書き、病院玄関吹き抜けに掲示。「がんばろう恵寿、がんばろう能登」というフレーズとともに、満開の桜を咲かせた。

文=露原直人

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