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2024.03.25

平均資産額と資産額中央値で読み解く、本当に豊かな国とは

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各国を経済規模や総資産でランク付けすると、たいていは米国が首位となり、中国、日本、ドイツなどが続く。だが、国民1人あたりの平均保有資産やその中央値で見ると、トップに君臨するのは別の国になる。

国民(成人)1人あたりの平均資産額では、約68万5000ドル(約1億370万円)のスイスが世界で最も豊かな国となり、ルクセンブルクと米国が続く。

1人あたり資産額の中央値、つまり、その国において自分より裕福な人と貧しい人が同数となる人の資産額で見ると、トップはアイスランドで、資産額の中央値は41万3000ドル(約6250万円)になる。

国民1人あたりの平均資産額と資産額中央値が上位の国と地域(2022年)

平均資産額
1. スイス:68万5226ドル(約1億375万円)
2. ルクセンブルク:58万5950ドル(約8870万円)
3. 米国:55万1347ドル(約8348万円)
4. 香港:55万1194ドル(約8346万円)
5. アイスランド:49万8290ドル(約7550万円)

資産額の中央値
1. アイスランド:41万3193ドル(約6260万円)
2. ルクセンブルク:36万715ドル(約5460万円)
3. ベルギー:24万9937ドル(約3785万円)
4. オーストラリア:24万7453ドル(約3750万円)
5. 香港:20万2406ドル(約3065万円)

(出典:出典:クレディ・スイス「グローバル・ウェルス・レポート」)

国民1人あたりの資産での比較は、人口の少ない小国ほど総資産が小さくなる点が考慮されるので、国の豊かさに関してよりバランスのとれた全体像を把握できる。しかし平均値の計算では、社会の中で富がどのように分配されているかという点が考慮されない。これに対して資産の中央値は、国の資産がより公平に分配されているほど値が大きくなる。

アイスランドやスカンジナビア諸国は、富が比較的公平に分配されていることで知られる。クレディ・スイスのグローバル・ウェルス・レポートデータも、ある程度これを反映している。1人あたり資産額の中央値で見ると、デンマークは7位、ノルウェーは10位に入っている。

米国は1人あたりの平均資産では3位だが、中央値では15位に後退する。ベルギーは逆だ。平均資産では13位だが、中央値では3位となり、富の分配という点で平等な国であることが示されている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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