ロシア当局は昨年9月、カラムルザをシベリアの極秘刑務所に移送した。弁護団によると、カラムルザは刑務所に到着するとすぐに独房に入れられ、自身の子どもたちとの面会も拒否されている。カラムルザの病状を考えると、こうした環境で生き延びることができるのか、深刻な懸念がある。弁護団は、医師の治療が必要な健康状態であることを理由に釈放を求めているが、裁判所はこの要求を却下している。服役を開始して以来、多発性神経炎の症状は悪化の一途をたどり、足と片腕の感覚を失い、体重も30キロ減った。
妻のエブゲニア・カラムルザは、釈放に向けた動きがなければ、夫が獄中で死亡するのではないかと気を揉んでいる。同国の野党指導者アレクセイ・ナワリヌイが獄中で死亡してからは特に、その可能性を懸念する人たちが増えている。カラムルザは緊急の支援を必要としている。医療面や法律面だけでなく、刑務所から出所するための助けが必要なのだ。
カラムルザは英国籍を持つにもかかわらず、英政府から必要な支援を受けていない。囚人交換には関与しないという英国の時代遅れの政策により、英政府はカラムルザの釈放につながる交渉は行っていない。政策が時代遅れで欠陥があるのなら、変えていく必要がある。カラムルザのような政治犯が真実や民主主義、人権を求めて立ち上がるのと同じように、国家や国際社会はこうした政治犯を支援しなくてはならない。
(forbes.com 原文)